難しい本
読み始めてからカバンの中にもう2週間くらい入っている、珍しい書籍がこの「プロフェッショナル進化論」です。シンクタンクソフィアバンクを主宰する田坂広志さんの著作。新書で200ページ、通常なら通勤2日くらいで一通り読み終わるのですが、何回読んでも、理解することができない。普通ならすぐに読むのをやめて次の本に移るのですが、この本は何か捨てることのできない重要なメッセージが入っているようにも思えてしまう。何とも不思議な本です。
本書の主張は第一話に書かれている「これから、すべてのプロフェッショナルは「個人シンクタンク」へと進化していく」だと著者は最初にまとめています。
その中でパーソナリティの時代になる、信頼(Trust)が重要である、自分らしさの発見、といった心構えを語る部分は「個人シンクタンク」ならずともビジネスの基本、仕事の基本とも言えることとして、深く共鳴する部分です。しかしその感銘の中で、例えば「ネットラジオ局をはじめる」という戦略(具体例)がいきなり持ち出されると、全体のメッセージとの間に混乱が生じ理解できなくなるのです。
「ムーブタンク」「フィールタンク」「アドバイザリー・コミュニティ」「ギブアンドギブン」・・・魅力的なビジョンとキーワードが提示されているのですが、実例に持ちだされるのが田坂氏が実践している現実の分析になっているだけで、ではそのようなビジョンを実現するには具体的にどうしたら良いのかは見つけることはできませんでした。
上記のような感想を書くと読み手の理解力の問題ではないか、と指摘されるかもしれません。田坂氏が本の中で語るように「下段者には、上段者の力がわからない」からです。しかしもしそうだとしてもそれが読み手が理解すべき、との主張は(程度問題ではありますが)書籍というメディアでは受け入れられるものではないでしょう。
本書が難しいのは「シンクタンクソフィアバンク」と「執筆家田坂広志氏」が何をやっているか、ではなく「個人シンクタンクの時代に具体的に何をすべきか」が書かれていないから、と考えると頭の中が少しすっきりしました。そしてもしそうであれば、田坂氏の卓越したビジョン構築力を理解しようとするためには、そのコンセプトだけをピュアにまとめあげた方が読者にストレートなメッセージが伝わるのではないか、と思いました。
久しぶりに出会った難しい本。コンセプトを語るおいしい部分だけをまとめてもう一度読んでみるつもりです。
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