自己責任
個人情報保護法によって良かったこともありますが、逆に過剰な反応が様々な不便ももたらしているようです。例えば、学校のクラスメイトの連絡先が個人情報ということで開示されない、とか保育園の写真の販売が中止になったとか。解釈の問題もありますが、法律に抵触するかもしれないならやめておこうというという意識が問題の根底にあります。
情報保護が必要なことに異論を挟むつもりはまったくありませんが、ある一面で過剰になり、他方では未だにお粗末な情報の管理が行われているのを見ると、バランス感覚が崩れているのではないかと思ってしまいます。
9月末から金融商品取引法が完全施行されることになりました。証券取引法や金融先物取引法などを一本化し、利用者保護を盛り込んだ法律ですが、個人情報保護法と同じことが繰り返されなければ良いな、と懸念しています。
既に新聞の1面の金融商品の宣伝で下段3分の1が小さな文字でのリスクの説明になっている奇妙な広告などが目につくようになりました。確かにリスクを完全に説明してはいるのですが、小さな字を読む人はいませんから実質的な意味はほとんどありません。いわゆるアリバイ広告です。
金融商品のリスクをきちんと説明し、お客様に納得して買っていただくことは金融機関の基本です。しかしディスクレーマー(注意説明)にスペースを割いてすべてのリスクを小さな文字で羅列することでは問題の本質は解決しないと思います。
さらにこのような萎縮した金融機関の販売姿勢が過剰に触れると、例えばお年寄りには危険だからBRICsのファンドは売ってはいけない、とか当面リスクの高いハイイールド債券ファンドは積極的に販売しないようにしよう、といった勝手な判断をすることにならないか心配です。自分が理解していて買いたいと思っても金融機関が売ってくれないといった事態になりかねないのです。国内の金利型商品だけを保有していても「リスクを取らないリスク」になってしまいます。
橋本内閣が1996年に掲げた金融ビッグバンではフリー、フェア、グローバルの3つの原則で金融市場の改革が進み、自己責任の原則が求められるようになりました。投資教育や投資に対する規制を残したままのいきなりの自己責任には問題があることは事実です。しかしそれが今回利用者保護の徹底という形で金融機関の規制に戻るのはタイムマシンに乗った感覚です。
金融機関が金融庁からの摘発を恐れ、さらに萎縮をはじめ、個人金融資産のリスクとリターンの適切なバランスが取れなくなっていくデメリットが出てこないのかこれから数ヶ月注視していきたいと思います。
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