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投資信託の運用会社である三井住友アセットマネジメントが、2015年度からインターネットを通じて投資信託を個人に直接販売すると報道されました。

投資信託は通常、銀行や証券会社を通じて販売されており、運用会社というのはその裏にいる黒子のような役割です。販売会社を経由するとコストが高くなり、その分投資家の収益は低下します。お店を通さないで、その分低コストで販売するというのが今回の戦略の背景です。

直販の方が、販売会社のコスト分だけ優位なのにも関わらず、直販投信の2014年7月末時点の運用残高は合計で4416億円に留まっています。公募投信全体の残高が約85兆円あるのと比べれば1%以下のシェアです。

その一番の理由は、何とも逆説的ですが「直販投信のコストが高いこと」です。

例えば、日本株に投資をする投資信託の場合、ネット証券で販売されているインデックスファンドは信託報酬と呼ばれる年間のコストが0.4%以下になっています。一方の直販のファンドを見ると、年間のコストは1%前後のものがほとんどです。これは、インデックスファンドの運用会社のコスト(収益)が0.2%以下なのに対し、直販投信の運用会社のコスト(収益)が0.9%以上になっていることによるものです。

直販の日本株ファンドはアクティブ型と呼ばれるファンドマネージャーが運用するタイプの商品なので、単純にコストだけを比較すべきではないかもしれません。しかし、金融商品のリターンを上げる最も確実な方法は、コストを下げることであるのも事実です。

金融商品は実物資産とは異なり、効率性が高く、アクティブ運用による付加価値がつけにくい投資商品です。アクティブファンドを完全否定する訳ではありませんが、金融商品は低コストで運用できるインデックス運用を中心として長期的に成長からリターンを狙うべきだと思います。

三井住友アセットマネジメントは来年4月から日本株で積極的に運用するタイプや、株や債券などに分散投資するバランス型運用の商品を投入する計画だそうです。既存の投資信託よりは安くなるかもしれませんが、アクティブ型の商品を投入するのでは、今までの直販投信と同じで、ネット証券のインデックスファンドにはコスト面で勝てません。

三井住友アセットマネジメントではなく、インデックスファンドで実績のある三井住友トラスト・アセットマネジメントのこのシリーズのような商品が、販売会社なしで直販されれば、年間コストが0.2%台のファンドを日本で実現できる可能性があります。

日本国内の金融商品に求められているイノベーションは、「新しい運用手法」ではなく「低コスト」です。

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