140913design 家電や車を選ぶ時、欧米企業のデザインの方が日本製に比べ優れていると感じることが少なくありません。 「日経ビジネス」(2014.09.15.)のスペシャルレポートでは「デザイン家電 なぜ日本は作れない?」というテーマで分析を行っています。 日本企業の製品のデザインセンスが無いのは、日本人にはデザインのセンスが無いからだ、というのは誤解です。イタリアピニンファリーナに所属し、フェラーリやマセラティのデザインを担当した奥山清行氏のように欧米の自動車会社で働く日本人デザイナーもいます。日本人という個々の資質の問題ではなく、日本企業という組織の問題だというのがこのレポートの結論です。

あくまで一般論ですが、日本のメーカーは家電にせよ、自動車にせよ、デザイン部門よりも企画部門や営業部門が優位になっている。その結果、せっかくデザイン部門が優れた作品を提案しても、他の部門の意見に押し切られてしまう。デザインというのは機能のように数値化するのが難しいものです。性能を改善した新製品であれば、今までより何%改善という数字で社内を説得しやすいのに対し、デザインが改善された新製品といっても、それがどの位売り上げに貢献するのか数値で示すことができない。だから、デザイン軽視になって、スペック重視になるというのです。 フェラーリやランボルギーニ、ポルシェといった欧州の高級車メーカーではデザイナーの地位が高いそうです。権限も与えられ、報酬も高い。デザイナーの意見が通りやすく、高収入の彼ら自身も高級車を乗り回し、購買者のデザインや嗜好を理解しやすいというのです。 日本の自動車メーカーが大衆車や小型車を作るのが得意なのは、デザインよりも機能や価格が重視される購買層だからです。万人受けする無難な車を作るから、大量に販売するのには向いているのです。 パソコンのアップル、掃除機や扇風機のダイソン、オーディオのB&Oのような会社は、日本には生まれないのでしょうか。例えば、この会社は、東芝で家電を担当していた熊本氏が設立した日本企業ですが、「デザイン家電」の中で存在感を示しています。最近の日本の自動車も随分デザインが洗練された車が増えてきました。変化は少しずつ起こっているようです。 家電や自動車には、日本製がイヤなら外国製品を買うという選択肢がありますが、困ってしまうのが住宅です。自分でデザインできる戸建ての住宅ならまだしも、日本のマンションのデザインも海外に比べると随分見劣りします。遠くても、少し高くても、デザインが良いから住んでみたいという日本のマンションは、いつか出てくるのでしょうか?