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連載しているマネーコンシェルジュに最新コラムが掲載されています(写真)。今年は雑誌の連載や書籍の執筆といった「一人でできるもん」的な仕事だけではなく、チームを組んでコラボレーションしていく仕事にもウエイトをかけていくつもりです。

新しいプロジェクトが、成功するかしないかは、いくつかの要因で決まります。

まず、大前提になるのが、そのビジネスが社会に価値を生み出し、それを理解してくれる顧客がいることです。世の中の役に立たない仕事は、本質的に市場価値がありませんし、価値があるものであっても、それが理解されなければビジネスとして成り立たないからです。

何をやるかが決まった時、次に重要なのが「誰とやるか」です。同じ志を持った人と一緒にやらなければ、最初はうまくいったとしてもどこかでベクトルの違いが発生してしまいます。全員が同じ方向を向いていなければ、エネルギーを最大化することができず、リソースが限られている小さな組織では、ちょっとしたエネルギーのロスが大きな差になって結果に影響するのです。

ベクトルを合わせた上で、最後に必要になるのが、メンバーそれぞれの貢献度とそれに対する報酬をバランスさせることです。1つのプロジェクトであっても関わり方は様々です。より大きなリスクを取って、より大きな貢献をしている人が、より報われるような仕組みにならなければ、リスクを取って貢献しようという人はいなくなります。参加メンバーがどんな貢献をしているのか、どんなリスクを取っているのかを的確に把握して、それに対応していかなければ、有益な人材から流出していくことになります。

「貢献度と報酬をバランスさせる」

これは起業に限らない話だと思います。国という単位でも同じことです。例えば、社会にイノベーションを起こし、莫大な利益を得て、巨額な納税をしているような起業家は、大きなリスクを取って、国に対して雇用の創出と納税という大きな貢献をしています。ところが、そのような人たちの報酬というのは、金銭的には大きなものであっても、社会的な尊敬という点からは、日本においては小さすぎると思うのです。むしろ、嫉妬とやっかみの対象になってしまう傾向さえあります。

投資も同じです。資産運用によって投資リターンを上げても、「あぶく銭」「投資=ギャンブル」といったレッテルを張られ、尊敬どころか、悪いことをしているかのように軽蔑されてしまったりする。リスクを取って、資本を社会に還元するという貢献をし、それが効率的に使われた証が投資のリターンなのに、それがまったく逆の評価になっているのです。

これでは、日本において起業や投資のようなリスクを取ろうと思う「リスクテイカー」が、増える訳がありません。海外に出てリスクを取った方が報われると思う人たちは、海外で起業するという選択をするのは当然のことです。海外進出を力ずくで阻害するのではなく、リスクを取った人が、リスペクトという観点からも、もっと報われる社会になっていけば、日本が活力を取り戻し、明るい社会になっていくきっかけになると思います。

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