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伊豆に来ています。昨日慌てて予約サイトを検索して、当日でも空いているオーベルジュを発見。午後から車に乗って出かけました。夕方には、ウグイスの鳴いている森の中で寛ぐことができました。伊豆牛を使った夕食も、東京に引けを取らない素晴らしいものでした(写真)。

4室だけのオーベルジュですが、宿泊者は他にいないようで、貸切状態でした。シェフと給仕の女性が3名。貴族になったような何とも贅沢な気分でしたが、このオーベルジュという業界。どうやって経営を成り立たせているのでしょうか?

まず、原価率が高そうです。食材はそれなりのものを揃えないと、わざわざ東京からお客さんは来てくれません。この日も、フォワグラ、サマートリュフ、伊豆牛、キャビアと高級食材が次々に出てきました。原価率は恐らく50%近くではないかと思われます。1組のお客さんのためにこれだけの料理を準備するのは、食材のロスも考えれば、かなり高コストです。

次に、人材の確保です。人里離れた場所に住み込みで働いてくれる従業員を確保するのは、簡単ではありません。定着しなければ、新しい人を探してまた1から教育しなければなりません。

そして初期投資もかなりの金額になります。銀行の保養所を改修したと聞きましたが、広大な敷地を贅沢に使って、わずか4室。ダイニングの内装や、部屋のデザイン、さらにワインの在庫など、気の遠くなるような投資です。恐らく、億単位の投資です。

集客も広告したりするのでは、集まりません。富裕層向け雑誌に掲載されたり、口コミで評判が広がるのを待つしかありません。攻めの営業がなかなかできないのが辛いところです。そして、1組しか予約が無くても、すべての施設を手入れして準備しなければならないのです。

お客さんとしてではなく、経営者としてオーベルジュを見ているうちに、どうやって経営しているのか、本当に不思議に思えてきました。

ワインバーも経営するのは、簡単ではありませんが、オーベルジュをビジネスとして長期間成立させるのは、さらにハードルが高いと言えます。以前、仕事で全国のオーベルジュを巡っていたことがありましたが、長期的視点でビジネスを考えることができ、お客様をもてなすことが心から好きな人でないとできない、参入障壁の高いニッチなビジネスです。

お客さんとして来るのは最高だけど、経営者になるのは無理。朝から部屋にある露天の温泉に入りながら、そう思いました。

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