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マイナス金利導入の影響で国内での資産運用が難しくなってきました。みずほ銀行は昨日も定期預金の金利引き下げを発表し、預入期間が10年までのすべての定期預金の金利が年0.025%としました。また、日興アセットマネジメントはMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の償還を発表しました。

資産デザイン研究所メールにも書きましたが、国内金利が低下することによって、金利を受け取る債券型の金融商品の魅力が低下する一方、不動産投資などで借入をしている人にとっては、金利負担が低くなりそうです。住宅ローン金利も今後低下する可能性があり、返済余力が高まればより大きな金額の物件に手が届くかもしれません。

しかし、不動産投資で借入をする際に忘れてはいけないのは、キャッシュフローには借入金利よりも借入期間の方が大きなインパクトを与えるということです。

表はエクセルの関数機能を使って作った、1000万円の借入をしたの毎月の返済額がどうなるかの簡易シミュレーションです。

金利が高くなれば返済額が大きくなり、返済期間が長くなれば返済金額が少なくなるのは理解できると思いますが、注目すべきは金利の上昇と返済額の関係です。

借入期間が10年の場合、1%で借りると返済額は87,604円ですが、借入金利が3倍の3%になっても返済額は96,561円と余り変わりません。35年という長期の借入で比較しても、28,229円と38,485円ですから、1万円程度しか変わらないのです。

しかも、借入期間が長くなると返済金額は少なくなっていきます。例えば、1%で10年借りると87,604円ですが、3%であっても20年借入すれば55,460円と返済額は金利の高い20年の方が少なくなるのです。

もし、毎月の賃料が7万円だとすれば、10年までしか借りられないと、1%の低利で借りられても毎月のキャッシュフローはマイナスになりますが、20年借りられれば、金利が3倍の3%であっても、毎月14,000円程度のプラスのキャッシュフローが生まれます。

もちろん10年経てば、1%金利の借入は返済が終わりますが、その間に毎月持ち出しをするよりは、期間を長くして毎月の収支をプラスにする方が余裕をもって不動産投資ができます。2軒目、3軒目と物件を増やしていくには、毎月のキャッシュフローをしっかりプラスにすることが重要なのです。

借入期間が長くなれば、支払う金利は多くなりますし、将来の金利上昇リスクの影響も強く受けます。しかし、返済の後半になれば元本も減ってきますから、金利が上昇したとしても、その影響は当初より小さくなります。借入の支払いができるだけの充分な賃貸収入が維持できれば、何も困ることは無いのです。

国内金利の低下によって、借入金利が下がることは不動産投資家にとっては朗報ですが、金利だけではなく借入期間にも注目して「ライアビリティマネジメント」を考えていくことが大切です。

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※内藤忍、株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。