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ディスカヴァー・トゥエンティワンという極めてユニークな出版社があります。こちらの本の出版元でもあります。同社の名物社長干場弓子氏がインタビュー記事で、若者を不幸にするのは「キャリアプラン」「ライフワークバランス」「ロールモデル」の3つだと語っています。これは若者だけではなく、全ての人に共通することだと思いました。

キャリアプランというのは、自分が将来どんな仕事をするのかについて計画を立て、それに向けて実現に努力することです。しかし、仕事というのは自分だけでするものではないし、自分の将来について今の自分が計画を立てられる人などほとんどいません。キャリアとはプランするものではなく、実績を積み重ねていった上に結果的に実現するものだと思います。「なりたい自分」を想像するのは良いですが、すべてが計画通り実現しないからこそ、人生がより豊かなものになるのです。

ライフワークバランスとは、仕事をプライベートをバランスよくこなしていくスタイルを指しています。しかし、私の周りにいる活き活きと生活している人たちは、ほとんどがライフとワークをオーバーラップさせています。仕事の中にライフがあり、ライフの中から仕事のヒントを見つけたりするのです。2つに分けてしまうことで、むしろそれぞれの楽しさが半減してしまうのではないでしょうか。

ロールモデルとは、自分が目標にする人ということです。憧れの人を目標に努力するのは悪くないですが、いつまでもロールモデルを追いかけているだけでは、それ以上の人にはなれません。ロールモデルがいない世界で、自分が先駆者となる。ロールモデルを探し求めるのではなく、自分自身がロールモデルになれば良いのです。競争の無い世界で自分がフロントを走るのは、怖くもありますが痛快です。

3つの言葉に共通するのは、「人生の答えがどこかに書いてある」という教科書的な発想だと言えます。計画して、自分の時間をコントロールして、目標を立てれば、そこに到達できるという「勉強ができる人」の考え方なのかもしれません。

このような考え方が無駄とは思いません。ガムシャラに努力するよりも、効率的な行動をすることで高い成果を出せるのも事実です。しかし、人生とは自分が計画したり想定したりしている未来を遥かに超える可能性があるのです。

現状を前提として、自分の未来を考えることには限界があります。

私自身の経験を振り返っても、独立して仕事をするというキャリアプランはまったくありませんでした。仕事は楽しくやることを優先して、つまらない会社では人事評価されないこともありました。そして、誰もやっていないブルーオーシャンな仕事をやることを目標に「脱・横並び」で差別化をいつも意識して新しい分野にチャレンジしてきたつもりです。失敗も数多くありましたが、エキサイティングな経験ができ、後悔はありません。

未来は自分が作るものですが、どんな未来になるかは自分がすべて決めることはできないのです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。