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東京六本木ミッドタウンの向かいに先月バーニーズニューヨーク六本木店がオープンしました。東京では新宿、銀座に続く3店舗目になります。同じ通りにはイセタンサローネやポールスミスの路面店も営業しており、外人が集まる歓楽街がファッションストリートに変わりつつあります。

店内は洗練されたファッションアイテムがオシャレに陳列されていて、2フロアの圧倒的なスペース。カフェがあったり、ブランドメガネまで売っていたりします。セレクトショップの中でも、センスは頭一つ抜け出している感じがしました。平日の日中はお客さんがほとんどいませんから、ゆったりと買い物できます。といってもTシャツが4万円だったり、ジャケットが50万円だったりするので、勇気とお金が必要です(笑)。

ネットで調べてみると、バーニーズジャパンは、1989年に伊勢丹とバーニーズニューヨークの提携から始まったことがわかります。1号店は1990年にオープンした新宿店で、その後店舗展開は思った通りに進まず、2006年に伊勢丹が株式を、東京海上キャピタルが運営するファンドと住友商事に売却。それがセブン&アイに譲渡されて、現在に至っています。

バーニーズジャパンは、現在セブン-イレブンやイトーヨーカドーと同じ、セブン&アイ・ホールディングスのグループ企業なのです。

セブン&アイには西武やそごうといった百貨店もあります。しかし、バーニーズとこれらの百貨店、スーパー、コンビニが同じグループ企業だと知っている人はほとんどいません。いや、知られない方が良いのです。

セブン&アイがグループ戦略を駆使して、例えばバーニーズの商品をイトーヨーカドーやセブン-イレブンで取扱いを始めたらどうなるでしょうか。利便性が高まるメリットよりもバーニーズのブランド価値の毀損というマイナスの方が大きいと思います。

スーパーやコンビニに消費者が求めるのは利便性や価格です。リーズナブルでいつでもすぐに手に入る。生活必需品にはセンスや気分はあまり関係ありません。むしろ一般にウケるためにはあまりエッジが効いていない方が良かったりするのです。

対照的に、バーニーズニューヨークが提供するようなファッションは、機能性や価格に対する価値を競うものではなく、消費者の心を動かし、気分を良くするための存在です。高級ブランドは消費者に夢(=幻想)を売り続けることに存在価値があるのです。セレクトされたお店にセンス良く陳列され、お洒落なスタッフに説明してもらって、気持ち良く買い物をする。そんな夢から醒めるようなビジネスをしてはいけないのです。

セブン&アイがバーニーズニューヨークをどのように位置づけているのかは不明です。しかし、今後グループ企業としてシナジーを見つけようと無理な戦略を立てるより、今まのまま独立した立ち位置でビジネスを展開するか、別のブランド企業へ事業譲渡してしまった方が良い結果になるように思います。

少なくとも、デニーズやイトーヨーカドーのように、バーニーズニューヨークのロゴの横にセブン&アイのロゴを入れてはいけません。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。