新刊「60歳から毎月20万円入る術」には資産運用のシミュレーションの実例を掲載しています。例えば、45歳で金融資産を3000万円保有している人には、60歳までにどんな資産運用の方法が考えられるでしょうか。

3000万円といえばかなりの高資産額ですが、8月に開催した第4回世界の資産運用フェアの来場者の約6割は、金融資産3000万円以上と回答しています。資産をこれから増やすのにどうしたら良いか悩んでいる人もいる一方で、預金に滞留している不稼働資産をどうやって活用したら良いか悩んでいる人もまた思った以上にたくさんいることがわかります。

金融資産で運用する場合、平均の期待リターンがどの位かによって将来の資産額は決まってきます。3000万円をインデックスファンドを使ってシンプルに分散投資すると、年平均のリターンによって15年後の60歳の時の資産額が次のように計算できます。

年平均1%で15年運用すると 3,483万円
年平均3%で15年運用すると 4,674万円
年平均5%で15年運用すると 6,237万円
年平均7%で15年運用すると 8,277万円

期待リターンは15年間ずっと同じ数値であることを前提にしていますから、株式と債券を組み合わせたポートフォリオで年平均7%というのは現実的な数字ではありません。恐らく3%から5%の間、つまり4500万円~6000万円くらいの間になる可能性が高いのではないでしょうか。元本は保証されていませんし、最悪の場合は1年で20%以上資産を減らす可能性もあります。3000万円が増えるどころか、2000万円近くまで減ってしまうリスクもあるのです。

今度は実物資産で運用する場合を考えてみましょう。「60歳から毎月20万円入る術」のケース5(181ページをご覧ください)は、ネット利回り4.5%の中古ワンルーム(2000万円)3戸を、金利1.5%で3000万円借入して一気に購入した場合を掲載しています。借入は諸費用を入れて3,180万円。これを15年で毎月返済すると、毎月192,000円の元利均等返済額になります。購入したワンルームからは毎月75,000円ずつ家賃が入ってきますから、毎月のキャッシュフローは

(75,000円×3戸)-192,000円=33,000円(毎月の受取額)

となります。金利と家賃が変わらず、空室にならない前提ですが、毎月33,000円を受取ながら15年後に3戸のワンルームがローンなしで手に入ることになります。毎月のキャッシュフローは15年で約600万円になります(この一部を固定資産税や修繕費用に充てることが可能です)。

6,000万円で購入した3戸のワンルームマンションは15年後にいくらになっているかによって、2つの運用方法の評価が変わってきます。ワンルームマンション価格が3割下がったくらいが、金融資産の年平均3%の運用と同じくらいの結果と考えることができます。

では、ここで考えてみましょう。

金融資産で年3%以上で15年間運用できるのと、都心の中古ワンルームが15年後に値下がり3割以下(2000万円が1400万円以上)とどちらが可能性が高いか?

資産運用とはリスクとリターンのバランスから自分に合った投資対象を選択していくことです。金融資産、実物資産のどちらが良いか悪いかということではなく、具体的に比較して自分で決断していくしかないのです。勿体ないのは、先入観や偏見から1つの投資に決め打ちして幅広い選択肢が見えなくなっている人たちです。

11月3日にデイタイム編(11時から)トワイライト編(17時から)の2回開催する「A氏とY氏の会」はこの金融資産と実物資産の2つを組み合わせた資産運用について、参考書籍(写真)をベースにお話します。金融資産だけでコツコツやってきたけど、そろそろ別の投資方法も検討してみたいという方に是非聞いて欲しい内容です。今回で最後の開催になるかもしれません。お見逃し無く!

※毎週金曜日に配信している「資産デザイン研究所メール」。資産を守り増やすためのヒントから、具体的な投資のアイディア、そしてグルメな情報まで、メールアドレスを登録するだけで無料でお届けします。

※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。