171007NISA

日本の金融資産に対する税制優遇制度が、さらに「増築しまくり温泉旅館化」しています。来年から、つみたてNISAが導入されることになりました。

日本経済新聞がわかりやすくまとめていますが(図表)、NISAだけでも、通常のNISA、ジュニアNISA、そして今回のつみたてNISAと3つが並び、投資未経験者には、どれをどのように活用したら良いのか、よくわかりません。さらにiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)もあります。

証券会社での口座開設は、通常でも一般口座、あるいは特定口座(源泉徴収あり・なし)の選択があります。それだけでもわかりにくいのに、さらに分かりにくくなって、誰のための制度なのでしょうか。

金融資産の運用自体は、実物資産に比べて極めてシンプルです。

銘柄選択のような労力の割に成果の低いことには時間を割かず、インデックス運用で市場の平均値を狙い、全体の経済成長からのリターンを長期で享受する。金融の世界で歪みを継続的に見つけるのは簡単ではありません。それよりもインデックスを使って平均値を確実に選ぶのです。

国内、先進国、新興国の株式・債券・REITといった投資対象のマトリックスを作り、それぞれのインデックスに連動する投資信託やETFを使って運用する。基本さえ分かってしまえば、後は簡単です。

運用方法は簡単なのに、複雑化した税制によって、シンプルなものがややこしくわかりにくいものになってしまう。投資を促進しようとして作ったものが、投資を阻害する。何とも皮肉な状況です。わざとやってるわけはないとは思いますが(笑)。

半年前にも「日本人の資産運用環境は「増築した温泉旅館」のよう」というブログ記事を書きましたが、増築工事はこれからも続きそうです。

セミナーや書籍執筆など「金融の専門家」にとっては仕事が増えて美味しい展開なのかもしれません。しかし、日本人の投資のハードルが高くなっていくことは個人金融資産が預貯金に滞留することにつながり、大きな機会損失です。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。