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投資信託の金融機関別の「成績表」が発表になりました(図表は日本経済新聞電子版から)。これは2018年3月末時点の各社の顧客の投資信託の損益状況を計算したものです。

含み損益だけしか計算しておらず、過去に実現した利益が反映していないという問題はありますが、顧客の収益状況に関する大まかな傾向がわかります。

上位3社は独立系投信が独占。顧客の9割前後が含み益になっています。これに対し、下位の地銀や地銀系列の証券会社の顧客は、6割から7割以上が含み損。対照的な結果になっています。

これを見て、私が悔しいと思ったのは、ネット証券各社が上位に食い込んでいないことです。

1999年にマネックス証券を創業したときの理念は、既存の高コスト体質の証券会社には提供できない低コストで利便性の高い革命的なサービスを提供することでした。それによって、証券会社に「搾取」されていた個人投資家をキャピタルマーケッツの主役にする。そんな壮大な理想を掲げてビジネスを立ち上げました。

ネット証券の価格破壊によってコストは劇的に下がったにもかかわらず、当時の顧客の運用成績は逆に悪化しました。なぜならば、コストが下がっても、正しい運用方法で続けなければリターンは向上しないからです。

正しい投資の知識や情報の提供の必要性を認識し、生まれたのがマネックス・ユニバーシティーでした。そこで、伝えようとした資産運用の基本は「長期・分散・低コスト・インデックス・積立」という5つのポイントです。

独立系投信の評価損益が良好なのは、特に積み立てを重視し、顧客に続けることの重要性をきちんと啓蒙しているからです。一方の、下位に沈んでいる金融機関は、毎月分配型や、複雑な仕組みの高コスト商品の取り扱いを中心に行っています。

低コストにも関わらずネット証券の顧客が苦戦しているという事実は、投資信託の品ぞろえや顧客に対する情報提供に改善の余地があるということではないでしょうか。

金融機関の投資信託の品ぞろえは、本数を競うのではなく、真に顧客のためになる良質なファンドを厳選することです。不必要な商品は、顧客を混乱させるだけだからです。

今回の情報開示は、個人投資家の資産運用において、何が重要なのかを示唆しています。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。