エッセイ 2001年9月
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2001.9.29.
「over the hill」
アメリカで起こったテロ事件をきっかけにニューヨークにいる友人の何人かにコンタクトを取る機会があった。メールや電話で話していて感じたことは今回の事件をきっかけに、米国にいる日本人の心に何か変化が起こっているのではないかということだった。
もちろん私の知っている数人の友達と話した感覚が全体をあらわしているとは限らない。が、パーマネントに海外生活をする訳ではなくいつか帰国しようとしている日本人の間に何か時代の区切りがついた、というような感覚が広がっている気がした。大げさに言えば人生の転機のようなものであろうか。これから自分の意思で帰国する人が増えるのではないだろうか。
しかし、もう少し考えてみるとこれは事件による理由もあるかもしれないが自分達の世代がそういう時期に差し掛かっているから、ということもあるような気がしてきた。40歳はアメリカでは「over the hill」という表現を使うことがあるらしい。確かに人生80年とすればもうすぐその折り返し地点に差し掛かる。何かが変わる心理的な節目に近づいている。
何が変わるのだろうか。それは「選択」が求められる最終局面なのではないか、と思っている。今までモラトリアムが可能であったことに結論を出す、あるいは選択を迫られることではないだろうか。転職の幅も狭まり、ライフプランに関しても今までとは勝手が異なる、つまり選択の幅が狭くなるということ。選択の自由が豊かさの尺度とすれば、これは人生が貧しくなることである。
しかし、選択したものを深め、慈しむことができれば選択する自由が失われても豊かさは増す。丘の向こうに見えるのはそんな世界なのではないかと勝手に想像している。
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