■ 猫だまし
新札の導入は経済にプラスの効果があるのであろうか。8月10日の日経新聞に大阪大学の小野教授が、新札の景気への効果について疑問、という文章を掲載している。
新札の景気への効果として紙幣を刷新してそれにより自動販売機などが交換され新規需要効果がある、といわれているが、既存の道路を壊して新たに道路を作ることとどういう違いはない。偽札防止の効果以外、「穴を掘って穴を埋める」公共工事と本質的に同じだ。要するにお金を受け取るのが、自販機メーカーなのか、建設業者なのか、という違いなのだという主張である。
しかも公共工事は企業への直接的な負担はないが、新札は銀行、鉄道会社、自動販売機を使ってビジネスをしている企業に負担となる。つまり新札の発行は公共工事の民間への押し付けだ、というわけである。
一方、来年4月に予定されているペイオフ解禁について、小泉首相は「予定通り」と言いながら、当座預金など決済性預金の全額保護措置の検討を始めている。これは「予定通り」ではなく、明らかに方針の変更である。
構造改革としてペイオフ実施は行うが、国民にいたずらに無用な不安を起こさせないという対応も考えなければいけないというのがその理由のようである。しかし、ペイオフ実施に伴い一番影響を受けるのが中小の金融機関であるといわれている。小さな金融機関から取り敢えず大きくて安心できそうな金融機関へ資金がシフトすることが懸念されているからである。混乱は避けなければいけないが、金融機関の淘汰が始まることが国民の利益を果たして損なうことになるのだろうか。
新札にしろ決済性預金の導入にしろ、表面的に言っていることとその実との間に何か違いがあるのではないかと不信感がある。政府には納得できるような説明をしてもらいたいものである。
<最近の一言> 10年前に買ったテレビがついに壊れてしまいました。スイッチを入れて5分位経つと急に画面が写らなくなるのです。今まで毎日見ていたテレビの無い生活がもう1ヶ月になりますが、別に不便は感じません。世の中には無くても問題ないのに何となく存在しているものがたくさんあるような気がしてきました。