■ ベストセラーとその評判
最近本を読むことが多くなった。ここ3週間くらいでも養老 孟司の「バカの壁」(新潮新書)、「会社はこれからどうなるのか」(岩井 克人 著)、「社長失格の幸福論」(板倉 雄一郎 著)、「この世で一番の奇跡」(PHP文庫、オグマンディーノ 著)、「会議が絶対うまくいく法」(マイケル・ドイル、デイヴィッド・ストラウス 著)「東京外為市場25時」(徳間文庫、大下 英治 著)「孫子」(岩波文庫)と脈絡なく手当たり次第に読んでいる。
読む価値がある、と思ったのは「バカの壁」、「会社はこれからどうなるのか」、「この世で一番の奇跡」、「孫子」の4冊である。その中で、「バカの壁」は30万部を越えるベストセラーであるが、アマゾンのレビューなどを見ていると酷評されている。そんなにひどい本とは思わないのであるが、どうしてなのだろうか。
「バカの壁」はエッセイである。しかも著者が書いたのではなく話したことを文章にまとめてもらうという作り方になっている。なので、何かテーマがあって書いた本ではなく、つれづれ著者が考えているようなことが散文調で続いているのである。
この本は話があちこち飛んでいてつかみ所がないが、エッセンスは「話せばわかる」「絶対の真実がある」という思い込みから一元論に落ちていくことは簡単であるが、それでは見えなくなるものがある、という考え方を示したかったのだと思う。では一元論を否定するとしたらどんな代案を出すことができるのか。この点については著者は明確な答えを持っていない。それを不満に思う人もいるのであろう。
でも不満の一番の理由は、「バカの壁」という挑発的なタイトルとその中身にギャップがあることではないだろうか。養老 孟司の本、バカの壁というタイトルから醸成された読者の期待と書いてある内容にはズレがあるのも事実である。人間の満足度は期待と現実の差の大きさによって決まる。今までのファンからすれば期待が高くなりすぎた。
「バカの壁」というタイトルはキャッチ−でマーケティングとしては大成功だろう。そして話題の本となり新しい読者層を開拓したことも事実だろう。しかし結果として既存読者の期待を高めギャップを大きくした。
個人的にはエッセイとして著者のユニークなモノの見方を楽しめればそれで良いのではないか、と思っている。少なくとも680円の価値は充分にある。