■ 酢豚
高校時代、学校の近くに大番というラーメン屋さんがあった。高校生がたむろするその店で一番高いメニューは確か酢豚だった。大学生になってバイトで金を貯めたらいつかこの店に来て酢豚を頼もう、と思っているうちにお店は閉店してしまった。何だか哀しい思い出である。
酢豚というとパイナップルが入っているのが許せない、という人がいる。しかし、本場中国の酢豚にはパイナップルは入っていないらしい。日本人は海外から輸入したものを日本風にアレンジするのが大得意。パイナップルもきっと日本の料理人が肉をやわらかくするために考えたアレンジなのだろう。
週末に胡同三辣居の酢豚を食べた。北京風の黒酢を使った本格派だった。
ここの酢豚にはにんじんもピーマンも入っていない。もちろんパイナップルも入っていない。豚肉とたまねぎ、里芋と山芋が入ったシンプルな一品である。黒光りする黒酢で作ったソースにやわらかい肉を絡めて食べると中華料理を超えた香りが口の中に広がる。
自分もそうだったが、日本の酢豚を食べて嫌いだ、といっている人には一度この味を試してもらいたいと思う。