SHINOBY'S WORLD SHINCE: SEPTEMBER 30, 1996




エッセイ

2003/12/03 (水)

ラメラ

大手オンラインショッピングサイトを運営する会社がネット証券を買収した。

ネット証券を買収したオンラインショッピングサイトがポータルとしての価値を使って証券業に進出し、ネット証券の脅威になるのではないかとの意見がある。同業他社で仕事をする者のポジショントークと言われるかもしれないが、自分の考えを書いてみたい。

結論から言うと証券とショッピングの融合から新しい価値は生まれないと思う

つまり買収したネット証券が上場などによってそれ自体の価値を高める可能性はあっても、ネット証券をショッピングサイトの隣で運営することによる相乗効果は低い。

その理由の第一は顧客層の違いである。ネット証券取引は中高年の男性が主体である。一方のオンラインショッピングは20代の女性がメインではないだろうか。ネクタイ売り場の横にアクセサリー売り場を並べても売上に相乗効果が出るとは思えない。

理由の二つ目は証券取引とショッピングはお金の流れが逆であることだ。例えばオンラインショッピングの顧客がサイト上で見たネット証券で取引をするか。ショッピングというエンターテインメントを楽しんでいる時、お金を運用する気分はない。DVDをレンタルしている時に、証券取引の勧誘をしても誰も振り向かないだろう。気分がハレの時には資産をどうするかといったケのことは考えたくないのが人情だからである。

もちろんネット証券で儲けてオンラインショッピングで使う、という可能性はあるかもしれない。しかし、そのためには簡単にできる決済の仕組みと本当に買いたいと思う商品が必要だ。そのニーズを満たすことは可能だろうか。

カメラにラジオを一体化した「ラメラ」という商品があった。ネット証券とオンラインショッピングサイトの融合はこの商品を思い出させる。

一時の話題性を別にすれば金融機関の最終的な選択基準はクレディビリティとクオリティである。

キャノンや富士写真の成功の理由を考えれば、ラメラの真似をするより、レンズやフィルムの質を高めることが重要なことは明らかである。


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