■ 世界の中心で愛は叫べるか
この映画は自分が世間知らずの純真な人間か、それとも世間の荒波に揉まれた世俗的な人間なのかを知るリトマス試験紙である。泣いたら前者、泣かなければ後者。テストの結果、私は完全に後者であることが確認できた。
高校時代の美しい思い出を捨てられない結婚前の男。ひょんなことから過去の思い出を辿る旅に出る。思い出は白血病に倒れた昔の恋人。彼女とのカセットテープでのやり取りを聴き返す。実はそのやり取りを手伝っていたのが今の婚約者。感情移入しようにも設定が安直でリアリティがない。白血病は「赤いシリーズ」以来の定番で現実感がない。
2時間の映画のストーリーとしては単調であるし、役者の演技もわざとらしいし、さらに白けてしまった。しかし映画を観ていると後ろの席からすすり泣きが聞こえてくる。泣ける人もいるらしい。人の価値観はそれぞれであるが、私は愛を叫ぶ気分にはなれなかった。
話はかわるが、この映画で驚いたのはエンディングの平井堅の曲が流れ始めても誰も席を立とうとしなかったことだ。映画のストーリー以上に最後の数分間には価値があるように思えた。