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自分が生まれた村から一生外に出ない人と、世界中を歩き回っている人では、世の中を見る視野の広さが圧倒的に異なります。広い視野を持つことは、すべてにおいて極めて重要なことだと思います。

資産運用の世界でも視野の広さの重要性は変わりません。

私が社会人になった30年前は、「投資=日本株の個別銘柄選択」でした。どの株が値上がりするかを日本株という狭い選択肢の中から選ぶ。今から考えれば、何とも原始的な投資手法です。私も、個別銘柄投資で一時大きな利益を得ましたが、その後のバブル崩壊で結局利益を失うことになりました。

その後1997年にイギリス系の年金運用の会社に転職して知ったのが、「投資=資産配分」という革命的な考え方でした。銘柄選択や投資タイミングより資産配分が圧倒的に重要だという考え方は、今までの資産運用を根底から変えることになったのです。

1999年にマネックス証券の創業に参加すると、さらに広い視野を得ることができるようになりました。それは「投資=インデックス運用」という考え方です。アクティブファンドの半分はインデックス運用に勝てないという「金融業界の不都合な真実」を知り、コストを下げて市場平均を狙うのが、金融商品を使った運用の王道であることを知りました。

リーマンショックの後、金融資産だけを使った資産運用に疑問を持ち始めた時、友人が教えてくれたのが、海外不動産への投資でした。「投資=実物資産」というように視野を広げることができ、これが今の仕事につながっています。

そして、今思っているのが「投資=借入」という負債サイドまでを考えた、広い視野です。資産配分を考えるだけではなく、バランスシートの反対方向にある負債もコントロールすることで、資産運用の成果をさらに高めることができる。

自分自身の資産運用の変遷を見ていると、個別銘柄投資⇒金融資産を使った分散投資⇒金融資産を使ったインデックス運用⇒実物資産も組み入れたハイブリッド投資⇒借入も含めたバランスシート投資、と視野を広げてきました。

個人投資家の中には、自分のやってきた資産運用の方法にこだわり、視野を広げることに強い抵抗を持っている人がいます。例えば、インデックス投資にこだわっている人たちの中には、不動産投資や借入を使ったレバレッジ投資を、やったことも無いのに否定する人がいるようです。ご自身の選択ですからとやかく言う筋合いではありませんが、はなから除外するのは、視野を広げることができない「残念な人」だと思ってしまうのです(不動産投資やレバレッジを、全員がやるべきだと言っているのではありません)。

30年近く資産運用の仕事をし、少しずつ視野を広げることで、お金の世界の全体を鳥瞰することが少しはできるようになったと自負しています。自分自身のお金の資産運用を通じて、理解した私なりにベストだと思う資産運用の方法をこれからも個人投資家の皆さまとシェアして、さらなる高みを目指していくのが目標です。

(写真はお気に入りの和食のお店。和食を食べているだけでは、フレンチや中華の発想はいつまで経っても生まれませんね)

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