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日本経済新聞の2016年1月27日の朝刊に掲載された田村正之編集委員のコラム。金融資産を使った資産運用をしている人は必読です。長期分散投資の基本が明快に解説されているとても良い記事だからです(図表も同記事から引用)。

グラフは1980年からの先進国の株価指数(MSCIワールド)の推移です。相場の変動はあるものの、長い目で見れば、世界の経済成長(GDP)の合計に連動して上昇し、35年で約30倍になりました。MSCIワールドに連動する投資信託に1980年に100万円投資してそのまま放置しておいたら3000万円になった計算です(コスト除き)。

この図で興味深いのは、もう1つの折れ線グラフです。35年間の毎月の株価の変動率を計算して、月間上昇率が特に高かった9つの月(1987年1月、2009年4月など9か月)に投資をしていなかった場合の運用成績です。1980年以降の433カ月中、わずか9つの月で、投資しなかっただけで上昇率は投資し続けた場合の4割になってしまいます。

これは、資産運用の古典的名著であるチャールズ・エリス氏の「敗者のゲーム」に10年以上前から書かれている「資産運用で大切なのは市場に居続けること」という鉄則を証明するものです。投資のタイミングを計って、最高のチャンスを逃してしまったら、運用成績は逆に大きく低下してしまうのです。

投資のタイミングを考えて、安く買って高く売る。また、値上がりしそうな銘柄を見つけてきて、その銘柄に集中投資する。このような投資のタイミングや銘柄選択からリターンをあげようというのは、金融資産では非常に難しい。これは数十年間自分自身の資産を使って「実験」してきた経験的な感覚と一致します。

金融資産を使った運用は、この記事で書かれているように「長期」で資産を「分散」させることが基本です。

そして活用する商品は「インデックス」運用を基本として、投資信託なら販売手数料がかからず信託報酬が低い「低コスト」のファンドを選ぶ。そして毎月金額を決めて「積立」を続けることで、平均の購入コストを引き下げることができます。

波乱の1月相場が終わろうとしていますが、今後も同じような相場の急落、急騰は続くかもしれません。だから、世界のマーケット全体に資産を分散して、そこに積立で資産を積み上げ、長期で資産を置いて置くことで、目先ではなく10年後20年後に大きな成果を期待する。

これは私自身が試行錯誤の上に到達し、今も金融資産の運用で実践している投資方法でもあります。

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※内藤忍、株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。