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都市商業研究所によれば、目黒区にある大型スーパー碑文谷ダイエーが2016年5月の営業を終了するようです(写真も同サイトから引用)。1975年4月に開店し、年初の初売り風景が毎年テレビ放映されるダイエーの旗艦店でしたが、最近は赤字続きだったようで、時代の変化に対応できなかったということでしょうか。

ダイエーがイオングループに入ったことから、閉店後は大規模改修を行って、2016年12月くらいから「イオンスタイルストア碑文谷店」となり20年の賃貸契約を結ぶそうです。しかし、生まれ変わった店舗が復活するには、いくつかのハードルがあると思っています。

まず、駐車場の改善です。目黒通り沿いという便利な立地なので車でわざわざ買い物に来る人が多いのですが、地下の駐車場の収容台数が少なすぎで、多くの車は少し離れた屋外駐車場に行かなければなりません。寒い日や雨の日はとても使いにくく、地下駐車場は目黒通りの渋滞の原因にもなっています。建物の根本的な構造を変えなければ、集客力は高まりません。

次に、店舗レイアウトです。現状のダイエーの店舗は、なぜかお客さんのほとんどいない不二家が1階にあって、人気のスターバックスが2階にあったり、生鮮食料品が1階でドリンクが2階というように、利用者からすれば、短時間に買い物をするのには不便です。時間短縮したい人は、並びに開店したスーパー大関に流れています。こちらは駐車場が比較的入りやすく、買い物も1フロアで短時間にこなせるからです。

そして3つ目が品揃えです。イオングループが店舗運営するようになってから、プライベートブランドもトップバリューに変わっていき、品質よりも価格を優先した商品戦略が進んだように見えます。しかし、目黒区エリアに住んでいる人の多くは、少し価格は高めでも品質の高いものを求めているのです。新興国では人気のイオンモールも、東京の都心住宅地の成熟した消費者のニーズには残念ながらフィットしていません。

イオングループがどのような店舗開発を行うかはわかりませんが、地方やアジア新興国に展開しているイオンモールとは抜本的に異なるマーケティングができれば、都心には少ない大型店舗のメリットを活かせるようになると思います。果たして、年末に出来る店舗はどんな形になるのでしょうか。

碑文谷ダイエーには最近は行っていませんが、ダイエーという名前が無くなってしまうのは、1つの時代の終焉のようで、何だかさみしいものです。

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※内藤忍、株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。