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週末になると大量の不動産広告(写真)が入ってきますが、気のせいか最近都心のタワーマンション(タワマン)の高層階の売り物件が増えてきたように思います。もし事実だとすれば、タワマン節税と言われる高層階の節税効果が制度の見直しで消えてしまうという報道が原因です。

総務省と国税庁は2018年から高層マンションの相続税の課税方法を見直す検討を始めたとしています。現状では、階数や日当たりに関係なく面積に応じて一律となっている相続税評価額を高層階に行くほど引き上げ、節税効果を薄めるそうです。その結果、高層階の部屋は相続時の税負担が今より重くなり、低層階は逆に税負担が軽くなる可能性も出てきました。相続税評価だけではなく、固定資産税(年1.4%)も、高層階の税負担が増えることになりそうです。

国税庁が全国の20階以上の343のマンションを調べたところ、平均の相続税評価額は市場価格の3分の1程度になっていたそうです。低層階も含めた平均ですから、高層階の物件は5分の1、6分の1とさらに低い評価になっているかもしれません。例えば、現金1億円を相続すれば、単純計算でも税率30%相当として3000万円の税金がかかります。ところが、同じ1億円でタワマンの高層階を購入し、評価額が5分の1の2000万円なら相続税は15%相当の300万円まで圧縮できます(基礎控除などを考慮しない単純計算)。

実際に、高層階の課税評価額を引き上げることになれば、タワマンの高層階の節税目的の購入が減って階数による価格差が縮まることが予想されます。既に改正を見越して所有者の中には売り急いでいる人も出てきているようです。

タワマンの高層階は、比較的広い部屋が多く、価格も高めです。都心の物件の場合、1億円越えは当たり前。2億、3億という物件も珍しくありません。流動性や賃貸利回りを考えても、投資対象にはなりにくいのです。今回の課税方法の変更が具体的にならないとわかりませんが、タワマン高層階は今後、投機や節税ではなく、実需で自分で住みたいという人が購入する本来のあるべき姿に変わっていくことになるでしょう。

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※内藤忍、株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。