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サントリーホールディングスは、コンビニエンスストア ローソンの新浪剛史会長を10月1日付で社長に迎える方針を明らかにしたと6月25日の日経新聞が報じています。現在のトップの佐治信忠会長兼社長は、代表権を持つ会長となるそうです。サントリーは、創業家出身者が代々社長を続ける同族企業ですが、経営トップに外部から人材を招き、グローバル化に対応していくことになります。

新浪氏はローソン社長を12年間務め、2014年2月期まで11期連続の営業増益を達成した実績があります。新浪氏が、ローソン会長となり、経営の一線から退いた時点で、サントリー側から後任社長への就任を要請したと推定されています。

日本の企業では、社長は内部の人間(生え抜き)が昇格して決まるというのが一般的でした。同族会社であれば、身内の親族から社長を出すことが当然のように行われてきました。サントリーの今回の決断は、そのような従来の手法ときっぱりと決別し、最適な人材を社内外を問わず、親族であることを問わず選び出したという点で、勇気のあるものだと言えます。

しかし、それ以上に勇気があると思ったのは、そんな同族企業に乗り込んでいく新浪氏です。サントリーという独自の企業文化を持った会社に、コンビニ業界での経験をベースにグローバル経営を根付かせることができるのか。とても大きなチャレンジにこれからも注目です。

このような外部から「プロ経営者」を招く企業が最近目立っています。例えば、資生堂は、日本コカ・コーラで社長や会長を務めた魚谷雅彦氏を社長に迎えましたし、日本マクドナルドホールディングスの原田泳幸会長は、ベネッセホールディングス会長兼社長に就任しました。また、藤森義明氏がゼネラル・エレクトリックの幹部からリクシルグループ社長に転じたケースもあります。また、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人社長からカルビー会長兼CEOに就任した松本晃氏もこのケースに当てはまると思います。

このような外部の経営者を招く場合、問題になるのは人材です。グローバルな経営をスピーディに進めていくには、リーダーシップだけではなく、海外経験が必要になります。しかし、日本人で海外のビジネススクールでMBAを取得したり、海外業務で実績を上げている人材というのは、意外に多くはありません。

また、日本企業の場合、外部人材の登用は社員の昇進の機会の減少を意味しますから、実績が出なければ、求心力を得ることができません。同族会社の場合は、創業家との関係も良好に保つ必要があります。

このように、日本企業の風土を理解した上で、グローバルな経営手法を駆使できるバランスの良い経営者人材というのは、固有名詞で語られる位に限られているのです。通常は、エグゼクティブサーチと呼ばれる、グローバルに人材紹介を行っている専門企業が、人材を発掘し、企業とマッチングする役割を担っています。彼らの目にかなった人材は、相性なども加味して、顧客である企業に紹介することになります。しかし、需要が増加しても、人事のプロが紹介できる人材というのは、少ないのです。

今回のサントリーのケースのように、経営者を外部で探している日本企業は多いと思いますが、これからグローバル化を進める日本企業は、経営者の人材不足という問題に悩まさせることになるのではないか。今回のサプライズ人事を聞いて、経営者人材の不足が、日本企業の成長のネックになるのではないかと不安を感じました。

(写真はサントリーホームページから)

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