統一地方選挙の投票用紙が贈られてきました(写真)。東京では区議会議員の選挙があります。投票には行きますが、毎回誰に入れたら良いのか困っているというのが現実です。政治に対する国民の関心が薄れていると問題視されていますが、問題は投票に行かない有権者ではなく、むしろ硬直化して非効率な選挙制度にもあると思います。
政治に対する無関心にはいくつかの要因があります。
まず、現状の政治に対する不信感です。代議士の人たちが本当に責任に見合った仕事をしているかという疑問を持つ有権者が多いのではないでしょうか。兵庫の県議会議員の絶叫会見(動画)で、地方議会の議員の実態があぶり出されてきましたが、議員としての仕事の評価はどのようにしたらできるのか?真面目に仕事をされている方には申し訳ありませんが、信頼感はかなり揺らいでいます。そんな議員としての資質を、わずか10日程度で街角に張ったポスターや宣伝カーの声だけで判断をするのは、現実的には難しいと思います。
また、代議士の報酬はかなり高いようです。例えば、千代田区区議の報酬は年1310万円だそうです。そして議会が開かれていた時間は193時間。議会に出るだけが仕事ではありませんが、単純にこの時間だけを時給になおすと、時給6万7千円。一般の感覚からはかなりズレているように感じます。議員が決めた報酬。政治にお金がかかるのは理解できますが、蓄財に勤しんでいるとしか思えないような政治家も存在します。
もし、議員になろうと思っても参入障壁はかなり高いです。一般人が代議士になろうとすれば、今の仕事を辞めて、選挙に立候補しなければなりません。もし落選すれば、失業者になってしまう訳ですから、リスクを取って行動を起こせる人は、特別な人だけに限定されてしまいます。だから、代議士になれる人は、2世やお金持ちに限られ、一般の社会からかけ離れたものになっているのです。
政治の世界は特別な人たちにしか参入できない世界で、そこで好き勝手にやっているように見えてしまう。無関心になるのも、当然です。
海外では、議員の仕事に兼業を認め、報酬はゼロまたはせいぜい年間数十万円程度というところもあるようです。日本でも、同じような活動を広げようという動きがあります。例えば、土日夜間議会というサイトを見つけました。議会を週末や平日の夜に開催して、仕事を持っている人が議員になるような仕組みを広げていこうという活動うです。
現役の代議士の方の中には、時間を惜しんで、政治活動に真剣に取り組んでいる方が、たくさんいると思います。しかし、そのような議員の鏡のような人だけではなく、例えば企業経営しながら代議士をするとか、サラリーマンで平日仕事をしながら代議士をする。あるいはシニアの方がボランティアで議員の仕事をするといった議員の多様性を実現すれば、有権者の参加意識も高まるし、政治も変わる可能性があります。お金のためではなく、真に社会を変えるための政治活動を誰でもできるように門戸を広げるのです。
一般社会からかい離してしまい、硬直化した人材と仕組みで動いている日本の政治。私は政治の世界に関しては、まったくの素人ですが、投票率が低いのを有権者の責任だけに押し付けるのは無理があると思います。
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