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東京のタワーマンションの価格が高騰しています。新聞に入っていたチラシ(写真)を見ると、六本木の80平方メートルの中古物件で、価格は1億8000万円。普通の人が買える価格では無くなってしまいました。

タワーマンションの価格が高騰しているのは、都心の地価が上昇しているからですが、それだけではありません。円安によって海外の投資家から見て、割安な日本の不動産に資金が流れてきたことも要因の1つとして見られています。それと並んで、タワーマンション特有の問題として、「税の歪み」による価格形成があると言われています。

タワーマンションは階数が高いため、土地の面積の割に戸数が多く、また高層階になればなるほど価格が高くなります。不動産の相続税評価は土地は路線価、建物は固定資産税評価で計算されますから、高層階のタワーマンションは、実勢価格と相続税評価額の差が大きく、節税効果が高くなるのです。タワーマンションの高層階になると、時価の5分の1程度の相続税評価額となるケースもあると聞きます。だから、富裕層シニアの相続税対策として購入ニーズがあるのです。

しかし、このような税の歪みが是正される可能性が出てきました。先週、高層マンションの評価方法について、パブリックコメントにかけられるという報道が専門誌であったようです。パブリックコメントは、政令や省令などを改める前に、意見を募る制度です。実際にどのような変更があるかは、まだわかりません。しかし、今までとは異なるルールが適用されるようになれば、税の歪みを主目的にしていた人たちの購入スタンスにマイナスの影響が出てきます。

家賃相場から想定すると、都心のタワーマンションのグロス利回りは3%前後まで下がっていると想像されます。利回りから見た、都心のタワーマンションの投資魅力は、既に薄れています。実需に基づいた価格形成であればまだしも、節税ニーズで価格が上昇しているとすれば、そこにはリスクがあります。

資産運用における「税の歪み」は、様々な投資対象に存在します。歪みが大きくなると、税制度が変更されるという歴史が繰り返されてきました。リスクに対応するには、信頼できる税理士などの専門家から最新の情報を入手していくしかありません。

タワーマンションの評価に関しては、まだ何も決まった訳ではありませんが、特に保有している人、これから購入を検討している人は、今後の動きをしっかりとウォッチしていく必要があると思います。

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