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airbnb(エア・ビー・アンド・ビー)というサイトがあります。宿泊施設を提供したい個人(ホスト)と、ホテルとは異なる宿泊体験がしたい旅行者を結びつけるサイトです。昨年、パリに旅行した時に、現地でairbnbを使って予約をし、地元の人が住んでいるアパートでの滞在生活を楽しむことができました(写真)。

ところが、同じサービスを日本でホストとして提供しようとする場合、旅館業法違反になる可能性があることが指摘されています。1948年に制定された旅館業法は、「宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」をホテルや旅館と定義して規制の対象にしています。旅館業法の適用がある場合には、営業許可を取得しなければならず、種々の規制が適用されることになるのです。

airbnbは「宿泊料を受けて、人を宿泊させる」ことになりますから、これが業(営業行為)として行われた場合には、旅館業法が適用されることになります。「業として行う」とは、「社会性をもって反復継続されるもの」とされ、airbnbで宿泊する人は不特定多数のゲストであり、反復して宿泊させていけば、旅行業法違法となる可能性が高いというのが専門家の見解です。

実際に、2015年7月10日には、福岡県議会において、県の担当官がairbnbなどを通じた個人による空室賃貸について旅館業法の許可を取得する必要があるという見解を示しました。しかし、実際に日本国内には既に数万件のairbnbの宿泊紹介があり、法的にグレーのままで黙認されているというのが実態になっています。

火災などの事故や、近隣トラブル、薬物や違法取引といった犯罪の温床になることなどは、避けなければいけませんが、宿泊者から見ると、airbnbの体験にはホテルや旅館では味わえない、ローカルな文化に触れたり、その国に住んだ気分が味わえるといった魅力があります。設備は完璧ではありませんが、料金もホテルよりリーズナブルな場合が多く、旅行者には価値が高いのです。

所管しているのは厚生労働省のようですが、黙認しておいてトラブルが起きてから摘発するのではなく、2020年の東京オリンピックに向けて、今の段階から適切なガイドラインを作るなり、制度を整えるべきです。その際、大企業の過剰コンプライアンスのように、最初から法律を盾に規制するのではなく、知恵を絞って観光立国としての日本の実現をサポートしていく視点でお願いしたいと思います。

実は、私も自分で保有している不動産を使ってairbnbのホストになれないか研究してみようと思い始めました。世界の人たちと触れ合うことで、自分の世界も広がるような気がします。新しい仕組みを考えるのは、ワクワクするものです。もし読者の方で既にairbnbのホストになっている方がいれば、どんな体験をしているのか教えてください。

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