随分前に「「好き」を極める仕事術」(講談社)という本を書きました。評判も良く、自分の著作の中では最も気に入っている本の1つなのですが、残念ながら絶版になってしまいました。「好きを仕事に」は幻想なのでしょうか?
確かに好きなことだけをして、食べていくのは簡単ではありません。私の場合、やっていて時間を忘れるくらい楽しい仕事と言えば、セミナーで講師をしたり(写真)、書籍やコラムを執筆することですが、何となく講師と著者という仕事をやっていても生活できません。そこには戦略が必要です。
仕事を、「楽しい/楽しくない」「儲かる/儲からない」という2つのカテゴリー分けしてみると、
楽しいけど儲からない
楽しいし儲かる
楽しくないけど儲かる
楽しくないし儲からない
の4つに分類できます。4つ目の楽しくないし儲からないというのは論外ですし、楽しいし儲かるのであれば何も言うことはありません。
問題は「楽しいけど儲からない」と「楽しくないけど儲かる」のどちらを取るかです。
私の提案は、まず儲からなくても良いから、自分にとって楽しい仕事とは何かを考えてみる。そして、次にその仕事はどうやったら儲かるようになるかを考えるというプロセスを踏んでみることです。楽しくないけど儲かる仕事は、精神的にも良くないですし、いつか忍耐の限界に達したら終わってしまいます。
儲からない仕事を収益化するのに必要なのは「差別化」です。その分野で自分にしかできない価値を提供できれば、その付加価値に対して市場の評価が生まれるのです。
私がやっているセミナー講師は、世の中にたくさんいます。しかし、その中で資産運用の専門的かつ実践的な知識をわかりやすく提供できる人は意外に少ないものです。さらに、金融資産と実物資産を組み合わせ、自分自身でも資産運用を実践している人はほとんどいません。このように、自分だけの価値を追求していけば、大きな差別化が実現できるのです。
だから「仕事はつまらない、でもお金を稼ぐために仕方ない」と思っている人には、発想の逆転をやってみることをお薦めします。儲かるか儲からないかではなく、楽しいか楽しくないかから考えて、楽しいことを極めていく。
ワインが好きなら、ワインの輸入をやってみる。でも競合はたくさんいますから、そこで自分にしかできない価値の提供を考えてみる。
文房具が好きなら、文房具を販売するサイトをはじめる。でも競合はたくさんいますから、そのサイトにしかない価値の提供を考えてみる。
・・・
好きなことなら、時間を忘れて極めることができます。その極める方向が、市場のニーズにマッチすれば、自分だけが提供できることに大きな価値が生まれます。
かけがえのないたった一度の人生、好きなことにチャレンジしてみてはどうでしょうか?失敗して失うものよりも、うまくいって得られるものの方が、期待値としてはずっと大きいと私は思います。
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