情報サイトロイターによれば、国内の大手銀行グループは、日銀によるマイナス金利導入、新興国の景気減速、ドル調達コストの上昇などで収益環境が厳しくなってきているそうです。そこで銀行が重視しようとしているのが手数料ビジネスとなるようです(写真も同サイトから)。

個人向けの金融サービスで銀行の稼ぎ頭になっているのが、外貨預金や投資信託といった資産運用商品です。

外貨預金であれば、為替の手数料に無頓着な個人投資家が多すぎます。大手銀行のWebを見ると、ドル円の為替手数料はかつては片道で1円だったものが50銭程度まで引き下げているところが多いようです。それでも、FX(為替証拠金取引)のスプレッド(売りと買いのレートの差)が0.3銭ですから、圧倒的に割高であることがわかります。

FXはレバレッジがかかる取引ですし、何となく怖いというのは気持ちとしては良く分かりますが、レバレッジを1倍にすることは可能です。そうなれば、為替の変動に対するリスクは外貨預金と同じになります。そこで収益を大きく分けるのはコスト、つまり手数料なのです。

投資信託も同じです。販売手数料のかからない、信託報酬の低いファンドが次々と登場して、ネット証券で誰でも簡単に投資できるようになっているにも関わらず、銀行の窓口では高コストの投資信託が販売されています。販売手数料がかかっていることにさえ気が付かない人が多く、信託報酬がいくらなのかに関しても無頓着。

マイナス金利になれば、金融商品のコストに対してはさらにセンシティブになるべきなのです。

毎日の買い物では少しでも安いお店を探して、出費を節約する。病気になった時はジェネリックの医薬品を使って医療費を削減する。大きな買い物や旅行に行く時などは、ネット上でサイトを検索して価格を比較してからどこで買うのか決める。

日常の消費行動では当たり前のことが資産運用の世界ではなぜ行われないのか。その理由は金融に関する知識を学校で教えてくれないからです。

投資信託を100万円購入して、気が付かない間に販売手数料約3万円を取られるくらいなら、その手数料分で資産運用の勉強をした方が、自己成長もでき、将来の資産運用にかかるコストも節約できます。

金融機関とのお付き合いでは、これからますます手数料を取られる機会が多くなりそうです。意味のない手数料を気が付かないうちに払っている。そんな事態にならないように金融リテラシーをしっかり身に付けることが益々重要になります。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。