リオデジャネイロ五輪が21日に閉幕しました。日本人アスリートのメダルラッシュが続き、逆転勝利などドラマティックな競技もたくさんあって、後半はかなり盛り上がりました。4年後の東京は果たしてどうなるのでしょうか?(写真はネットから)
4年後の東京で関心があるのは、競技のことだけではありません。東京の地価がどうなるかにも興味があるのですが、こちらは専門家の間でも意見が分かれています。
東京の不動産は既に割高という人もいます。足元では、2016年7月の都心のマンションの発売戸数が8ヶ月連続で減少し、契約率も7割を2ヶ月連続で割り込んでいます。円高で外国人の購入が収まり、富裕層も買い急がなくなったことから「億ション」の動きが悪くなっているとも言われています。開催前の2018年には不動産価格がピークアウトし、その後は下落するという意見もあれば、2020年の五輪の影響を受けないという人もいます。
数年後の東京の不動産価格を予想する要素として、人口、インフラ、金融動向の3つを考えてみましょう。
まず、東京エリアの人口動態がどうなるかです。日本全体では人口減少が始まっていますが、東京都には毎年5万人以上の人口流入があり、人口増加が続いています。外国人の数も増え、観光客だけではなく定住する人も多くなっています。今後も東京への人口流入は続くと思われますから、供給が大幅に増えない限り、地価にとってはプラス要因です。
インフラの整備も東京の不動産の価値を高めると思います。都心では新興国並みの勢いで建設工事があちこちで行われており、道路や鉄道の整備もこれから4年でさらに進むはずです。こちらも東京の不動産には追い風になります。
問題は、3つ目の株、為替、金利などの金融情勢です。株価が下がったり、円高が進めば、国内景気にマイナスの影響になるはずですから、不動産価格にもマイナスになると言えます。そして、最大の影響があるのが金利です。金利上昇によって借入の負担が高まれば、マイホームや投資用にローンを借りて購入している人たちの購入が鈍ってきます。特に、投資用の物件は物件の利回りとの「金利差」が重要ですから、借入金利が上がることになれば、家賃が上がらなければ、価格下落によって利回り調整されることになります。
海外との比較で考えると、ニューヨーク、ロンドン、パリ、香港、シンガポールといったグローバルシティの中心部の不動産の利回りは東京より低くなっています。2020年に向けて、東京の国際化がさらに進み、アジアを代表するグローバルシティとしてのポジションを確立すれば、世界の主要都市と同じレベルの不動産価格になっても不思議はありません。
同じ東京でも地域による格差も出てくるでしょうし、一般論で語るのが難しい東京の不動産ですが、リスクをきちんと認識しながら、失敗の確率を下げる投資をしていきたいものです。
土曜日に開催する第4回世界の資産運用フェアでも、パネルディスカッションでこれからの東京の不動産について不動産の専門家の意見を聞いてみるつもりです。
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