日本経済新聞の記事によれば、アメリカの2018年の寄付総額は4277億ドル(約46兆円)に達し、4年連続で過去最高になったそうです(図表も同紙から)。
アメリカの一般の人たちが、このような富裕層をどのように見ているのかはわかりませんが、少なくとも日本よりも尊敬を集めているように見えます。
日本では、お金持ちは目立たないようにひっそりと暮らし、肩身の狭い思いをしている人が多いように思います。日本のお金持ちはナゼ尊敬されないのでしょうか。
理由の1つが、寄付や慈善活動に積極的な人がまだ少ないからだと思います。しかし、アメリカで寄付をする人が多いのは税制上の優遇措置があるからとも言われています。日本にも寄付金控除という税制優遇がありますが、所得に対する限度があり、寄付する対象も限定されています。寄付をしたいと思っても、どこにしたら良いかわからないという話も良く聞きます。
それよりも大きな理由は、日本人の間に未だに「お金=汚い」「お金儲けする人=悪い人・ずるい人」というお金に対する偏見があるからだと思います。私は、お金を稼いでいるということは、社会に対して価値を提供し、それが評価された証だと思っています。資本主義のルールに乗っ取って仕事を真面目に行い収入を得ることは、悪いことどころかむしろ誇るべきことです。日本では、私のような考え方は未だに少数派のようで、残念です。
日本のお金持ちがもっとリスペクトされるためには、日本人のお金に対する考え方を変えていく教育が必要です。それと共に、寄付に対する税制を変えていったり、多額の寄付をする人を表彰したり評価する制度を作っていくのが良いと思います。匿名で寄付をするのが良いことで、実名を出すと売名行為だと批判する人がいますが、本当にそうでしょうか。
東日本大震災の時、被災地にボランティアで駆けつけ、多額の支援を行った芸能人の杉良太郎さんは「偽善とか売名と言われることもあると思いますが・・」と聞かれ、こう答えたそうです。
「ああ、偽善で売名ですよ。偽善のために今まで数十億を自腹で使ってきたんです。私のことをそういうふうにおっしゃる方々も、ぜひ自腹で数十億円出して、名前を売ったら良い」
素晴らしい支援活動を、売名行為と批判するだけで、自分は1円も出さず、何の行動もしない。そんな日本人が、まだまだ大多数なのです。
お金持ちが売名行為を競うように寄付をして、堂々と生活し、尊敬を集める社会の方が、現状の日本よりずっと良い社会だと思います。しかし、そんな風になる日はいつかやって来るのでしょうか。
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