日本経済新聞によると、1965年にイギリスの自動車会社アストンマーティンが製造した「DB5」(写真)が、オークションで640万ドル(約6億8千万円)で落札されたそうです(写真も同紙電子版から)。
映画「007」の初期シリーズで主人公のジェームズ・ボンドが乗る「ボンドカー」として、人気のある車です。
このようなヴィンテージカーだけではなく、フランスのヴィンテージ赤ワイン、アンティークコイン、アート作品なども、価格上昇の動きが出てきました。共通するのは、限定された供給量に対し、金融緩和から需要が拡大し、結果として価格が急上昇していくことです。キーワードは「希少性」です。
その原因は、言うまでもなく世界的な金融緩和の流れです。アメリカの長期金利(10年もの)さえ既に金利は1%台。欧州や日本では、マイナス金利が当たり前になりました。
低金利で調達できる資金が増えても、債券金利は低く、株式も政治リスクが高すぎてリスクに見合ったリターンが期待できません。金融資産の運用先が無くなってくると、余剰資金がリターンを求めて様々なマーケットに流れ込んできます。
実態経済の景気浮揚のために行っている金融政策ですが、結果として景気浮揚効果はほとんどなく、資産価格の上昇だけをもたらすという展開になっています。
その結果、資産価格上昇の恩恵を受けるのは、資産を持っている人たちだけです。世界的な金融緩和は、貧富の差をさらに拡大していくと予想できます。
希少性のある実物資産に資金が集まる動きですが、冷静に考えるべきなのは、果たしてこのような金利低下による資産価格の上昇は、いつまで続くかということです。
相場の有名な格言に「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」というのがあります。
明らかなことは、バブルというのは終わってみて初めて、そのピークを振り返ることができるということ。「いつ」をピンポイントで当てるのは、ストラテジストやエコノミストにもできません。だから、いつどちらに転んでも良いように、準備しておく必要があるのです。
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