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「私の履歴書」に9月から吉野家ホールディングス会長の安部修仁さんが登場していますが、これが毎日読ませます。連載小説のように次の日の展開が気になるドラマのような人生が描かれています。

日本経済新聞の名物コーナーで、毎月各界の著名人が半生を振り返る内容ですが、書き手によってはまったく読まないこともあります。私が面白いと思うのは、起業家、政治家、芸能人など。面白くないと感じるのは官僚、大企業のサラリーマン経営者という傾向があります。子供の頃から優秀で東大を出て、組織の中で出世したというような、堅実だけど厚みの無い人生よりも、ジェットコースターのように波乱万丈で、崖っぷちからサバイブしてきたような人の方が、深い人間味があって共感できるのです。

安部さんの連載はまだ3分の1も終わっていませんが、既に波乱万丈で何とも味わい深い内容です。その中で吉野家でアルバイトを始めた頃の話が出てきます。1970年代のことで、当時の新橋店が掲載されていました(写真)。

オレンジ色の看板は変わりませんが、気になったのは言葉の順番です。当時の吉野家のキャッチフレーズは「早い、うまい、安い」で、現在の「うまい、安い、早い」と順番が違っているのです。

ネットで調べてみると、築地で創業した頃は「うまい、早い」だったのが、1970年代に「早い、うまい、安い」になり、1980~1990年代は「うまい、早い、安い」、そして2000年代からは「うまい、安い、早い」となって現在に至っているようです。

安部さんがアルバイトから正社員になった時の吉野家はわずか4店舗。これから大きな飛躍と挫折のストーリーが始まるのだと思いますが、経営者としてどん底で何を考え、どうやって脱出してきたのか。その心の内を連載で語ってもらえるのを期待しています。その中で、キャッチフレーズの変遷についても是非触れてもらいたいと思っています。

ちなみに、吉野家の「吉」の字はなぜか漢字の上の部分が「士(さむらい)」ではなく「土(つち)」で下の棒の方が長くなっています。マネックス証券時代に、安部さんがセミナーのゲストにいらした時、「吉」の字が「士(さむらい)」になっていて、慌てて修正したことを思い出しました。

自宅の近くにはお店が無いので、最近はなかなか行く機会が無いのですが、こんなこと書いているうちにまた行きたくなってきました。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。