「労働者」としての組織での仕事を辞めて、自分で「経営者」として起業したのは、もう3年近く前のことになります。数年間やってみてわかったことは、それぞれの仕事には、向き不向きがあるということでした。
起業に向かない人は、こんな人です。
1.完璧を求める人
新しいビジネスには失敗がつきものです。私もたくさんの失敗がありましたが、すべてを完璧にするより、「成功>失敗」にすることを目指して、とにかく数を打つことを続けてきました。ミスは無い方が良いですが、ミスを恐れてチャレンジしないことの方が、むしろ損失は大きいと思います。
2.人のせいにする人
組織で仕事をしている時は、人のせいにできる仕事も、起業して自分が責任者になれば、結果がすべてです。金融機関には社内政治に長けた「茶坊主」(イエスマン)や「ひらめ」(上しか見ない人)がたくさんいましたが、自分の保身ばかりを考えている組織人には、起業は向いていません。
3.得意分野を持たない人
仕事とは他の組織との競争になります。競争に勝つためには「商品・サービスの差別化」か「低コスト」のどちらかが必要になります。低コストで仕事を続けるのは、続けることが難しいと思いますから、差別化できるものを持っていることが重要になります。自分が他の人に負けない得意分野を持たないうちは、起業しない方が良いと思います。
4.ネガティブな人
コップに水が半分入っている時に、「半分しか入っていない」と思うのではなく「半分も入っている」と思える人の方が前向きに仕事に取組み、結果を出す可能性が高いと思います。ネガティブに否定ばかりしていては、新しいチャレンジはできません。
5.健康管理ができない人
起業すると、自分の代理をしてくれる人はいなくなります。大企業なら、自分が休んでも、誰かがカバーしてくれて組織は何とか回りますが、小さな組織では、自分がいなければ会社は回っていかないのです。だから、自分で自分の体調を管理できることが起業の大前提であり、それができない人は、起業するとリスクを抱えることになります。
6.夢中になれない人
新しい仕事をゼロから立ち上げる初動にはある種の「狂気」が必要だと思います。周囲の人たちに否定されようとも、1つのことに没入して、寝食を忘れるくらい夢中に何かに取り組む瞬間から、価値が生まれます。ずっとそんな生活を続けることは不可能ですが、一時的に夢中になることさえできないのであれば、そこから出てくる結果もそれなりにしかならず、起業する必要はないと思うのです。
7.こだわりを捨てられない人
1つのことを極めたいという職人的なこだわりが大切である一方、既存の価値観をこだわりなく捨てられる柔軟性も起業する人には求められると思います。事業環境が変わった時にその環境変化にいかに自分のビジネスをフィットさせられるかが企業経営に必要な要素だからです。例えば、PCからスマホに世の中がシフトしたら、PCにこだわらないで、スマホに対応できる会社が生き残るのです。
起業によって、自分ですべてを決められる自由を手に入れることができますが、それが苦痛だと思う人もいます。だから、無理に起業しろとは言いません。「労働者」と「経営者」。どちらが良いかは、自分の価値観の問題です。
でも、もし一度も起業をしたことが無く、組織で「労働者」として仕事をしながら、悶々としている人がいたら、一度チャレンジしてみてはどうでしょうか?やってみると、思ったほどリスクが小さく、リターンの大きな世界であることがわかると思います。
「7つの特徴」は、金曜日の丸の内朝大学に向かう車から東京タワーを見ていた時(写真)、浮かんできたことです。私自身の偏見もあるかもしれませんが、これからのキャリアを真剣に考える人の参考になれば幸いです。
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