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私自身、様々な資産運用の方法を自ら実践(実験)し、その結果を個人投資家の皆さまにわかりやすくフィードバックするのを生業としています。新しい情報収集から、自分の今までのやり方をさらに進化させることの繰り返しですが、その中から見えてきたことがあります。

リスクとリターンの関係は図のようにトレードオフの関係にあります。その中でどんなリスクをどこまで取るか?それは、資産の運用方法には本人の知識や経験に応じて様々なレベルがあるということです。例えば、こんな風に分類することができると思っています。

<レベル1> まったく資産運用の知識が無い人
銀行の定期預金をすることしか考えていません。証券会社で株を買うことも、投資信託や外貨預金でさえも、危険で買ってはいけない商品だと思い込んでいます。

<レベル2> 投資マインドがあってもリスクコントロールの視点が無い人
少し知識を身に付けると、金融商品の株式投資やFXを始めるようになります。リスクコントロールについての知識が無い場合、特定の銘柄に集中投資したり、FXのレバレッジを高くしすぎて、急激な相場変動で失敗してしまいます。

<レベル3> 金融商品だけで資産運用をする人
もう少し洗練された投資家(スマートインベスター)になると、金融商品の中でもインデックスファンドを使って低コストの分散投資をはじめて、積立によって時間も分散させるようになります。しかし、実物資産への投資という、もう1つのフロンティアに気が付いていません。

<レベル4> 金融資産プラス実物資産で資産運用する人
金融資産だけでは効率的なマーケットで超過収益を取れないことに気が付くと、不動産のような実物資産も組み合わせて投資するようになります。インカムゲインを不動産で得て、金融商品は流動性を確保するために保有する。私がハイブリッド投資法と名付けている方法です。

<レベル5> 実物資産のレバレッジを活用して、資産運用する人
次のレベルは、保有している現金だけではなく、借入によるレバレッジを活用して資産運用する人です。国内の不動産であれば、90%以上を借り入れによって調達することができます。例えば、都心のワンルームマンションを借り入れを使って複数個保有する方法です。確かに、70万円の自己資金で2000万円近くの物件を購入するのは、空室率は極めて低いとはいえ、金利上昇リスクや価格リスクなどが存在します。しかし、リスクコントロールの戦略を立てられる人にとっては、新たな投資のフロンティアを実現できる投資法と言えます。

今まで私が、考えていた資産運用の「レベル」は、ここまでの5つのレベルでした。しかし、最近レベル5の上にレベル6もあるのではないかと思い始めました。

それは、不動産投資の空室リスクを敢えて取る投資法です。

例えば、空室ほぼゼロで賃貸利回り5%の不動産と、空室率が平均で20%の賃貸利回り8%の物件があったとすると、どちらを選ぶかは、その人のリスク選好度によって変わってきます。

A.確実に5%の利回りを確保する
B.不確実ではあるが、6.4%(8%で入居率平均80%)の平均利回りを確保する

レベル5の人はAを選択しますが、レベル6の人はBという選択肢もあり得るはずです。

資産運用とは、自分がどこまでのリスクが取れるかを「リスク許容度」と「投資経験や知識」から判断して、決めることです。身の丈以上のリスクと取れば失敗の可能性が高まりますが、リスクを過小にしか取らなければ、せっかくの自分のリスク許容度が無駄になってしまいます。

意味のないリスクをむやみに取って「リスクの取りすぎ」になっては問題外ですが、逆に「リスクを取らないリスク」についても、常に頭の片隅に置いておくべきだと思っています。

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