image

ミシュランの評価は毎年更新されますが、これは料理人にとっては毎年テストを受け続けるようなもので大変なプレッシャーだと思います。少しでも気を抜くと、すぐに降格されてしまう。

1年間のパフォーマンスが悪かっただけで、会社の部長が課長に降格されてしまうようなものです。その中で評価を維持、向上させていくのは並大抵のことではないのです。

2015年にパリのレストランで星なしから星付きに昇格したお店は2店舗のみ。David ToutainとGaranceです。運良くGaranceに予約が取れたので行ってみました。8月のパリは私のような予定を立てない旅行者には最高です。

決して便利とは言えない7区の閑静な場所にあるお店は、カジュアルでTシャツでも入れるような雰囲気です。メニュはフランス語しかありませんが、店員さんは英語を話せますのでメニュは説明してもらえます。

前菜2つ、メイン2つにデザートがセットになった「お試しコース」を注文してみました。ここもやはり和食の影響を強く受けていることがわかります。チキンの皮をカリカリに焼いたアミューズは焼き鳥の鳥皮を思い出しますし、サラダに入っている切り身の魚は、カルパッチョというより、ほとんどお刺身に近い味がします。

キノコが入ったコンソメのラビオリは、日本のワンタン麺のミニチュア版。メインのチキンとデザートはフレンチでしたが、全体に軽快な味わいで、ワインを飲まなくても美味しく食べられる新感覚のフレンチでした。

フォワグラのような食材を使わず、野菜が美味しい全体にヘルシーな味わいで、日本人受けしそうな味です。食後感が極めて軽く、夜中になると小腹が空いてしまうようなフレンチ。和食のような世界中の料理からヒントを得て、融合させつつフレンチの要素を残すというのが、今のトレンドのようです。

同じフロアにいたお客様のほとんどは、フランス人ではなく外国から来ている人のようでした。私と同じようにミシュランを見てやってきた人たちがほとんどと思われます。客層が変われば、スタッフのモチベーションも高まり、さらに洗練されたお店になっていきます。

ミシュラン星の数という「絶対値」だけではなく、どう変化したかという「ベクトル」で評価することも大切です。ギリギリ2つ星を保っているお店より、星なしから1つ星というお店の方がきっと勢いがあります。

会計はジョエルロブションの半分以下。繊細な味わいのフレンチがこの価格で味わえる。コストパフォーマンスという点では極めて満足度の高いお店でした。来年はもしかしたら2つ星になってしまうかもしれない。そうなれば、きっと予約も取れないし、価格も今より上がってしまうことでしょう。

新しくミシュランで星をとったお店なら、外れる可能性はかなり低いと言って良いはずです。美味しいお店を見つける裏ワザと言っても良いかもしれません。

※毎週金曜日に配信している「資産デザイン研究所メール」。資産を守り増やすためのヒントから、具体的な投資のアイディア、そしてグルメな情報まで、無料でお届けします。メールマガジン登録会員数は、もうすぐ20,000人です!

image