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パリのホテルは、ラッキーなことに眺めの良い部屋を取ることができました。リヴォリ通りに面して目の前はチュイルリー公園。遠くにはエッフェル塔が見える素晴らしい眺望(写真)。ギリギリの予約ではまず取れないサイドの部屋が予約できるのは、やはりこの季節ならではの特権です。

旅行中ずっと感じているのは現地で出会う日本人の少なさです。パリも例外ではなく、街中でも日本人に会うことは稀で、すれ違うアジア人観光客は圧倒的に中国人でした。

ところが、朝食でホテルのレストランに行くと、9組中何と8組が日本人。個人旅行で来ていると思われる旅慣れた雰囲気の人たちでした。高い天井に豪華なシャンデリアが吊るされた、パリの高級ホテル。朝から優雅にコーヒーを飲んで、フルーツやクロワッサンを楽しむ。観光というより、滞在を楽しむ人たちがほとんどのように見えました。

海外旅行は何回も行くうちに、観光をすることにあまり価値を感じなくなります。パリにもルーブル、オルセー、オランジェリーと素晴らしい美術館がたくさんありますが、日本では美術館など滅多に行かない人にとっては美術館巡りの目的は美術鑑賞ではなく、記念に行く観光なのです。そのような、有名な観光スポットをスケジュールを立てて巡り、写真を撮って満足するような旅行は、徐々に飽きてしまいます。

それよりも、現地に滞在して、街の雰囲気を味わい、スケジュールも立てないで、のんびりと自由に時間を過ごす。そんな時間の使い方に価値を感じるようになるのです。

私も30年以上前に初めてパリに行った時は、ルーブルでモナリザを見て、リドでナイトショーを見て、ノートルダム寺院に行って、エッフェル塔と凱旋門をバスで見学といったスケジュールをこなしていました。

パリの街角で日本人の団体客を見かけなくなったのは、単に旅行者の数が減っただけではなく、日本人の海外旅行のスタイルが観光型から滞在型に変わってきていることも大きな要因ではないかというのが私の仮説です。

パリでは、レストランを数軒視察する以外は予定もなく、しばらくホテルの部屋でのんびり過ごそうを思っています。旅行先で予定もなく、何もしないというのが、実は一番の贅沢な旅行ではないか。朝食から戻り、ホテルの窓からパリの街を眺めながらそんな風に思いました。

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