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日本経済新聞の報道によれば、イギリスの教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが発表した「世界大学ランキング 2015-2016」で、東京大は43位。昨年の23位から大きく順位を落としました。アジアではシンガポール国立大、北京大に抜かれ3位です(表は10月1日日経夕刊より引用)。

ランキングの作成方法については、こちらに具体的な方法が詳細に記載されていますが、5つのカテゴリーで数値化して決定しているようです。

Teaching (the learning environment) 学習環境
Research (volume, income and reputation) リサーチのクオリティ
Citations (research influence) 論文の引用
International outlook (staff, students and research) 国際化のレベル
Industry income (knowledge transfer). 実業界への影響

日本の大学で上位200校に入ったのは東大と京大(88位)だけ。東京工業大、大阪大、東北大は上位200校から姿を消し、早慶といった「一流」私立大学は、そもそも圏外という状態です。トップ20のうち18校は米英の大学です。

ランキング計算方法がリサーチに偏っているなど議論はあると思います。順位だけを見て一喜一憂する必要はないと思いますが、ランキングを見てわかることは「日本の大学を卒業することは、世界的にはあまり評価されていない」ということです。

日本は学歴社会と言われていますが、それは世界各国で程度の差はあれ共通です。むしろアメリカの方が学卒とマスター、ドクターの待遇に大きな違いのある学歴社会とさえ言えると思います。ただ、日本の場合は、大学で何を学んだかよりも卒業大学の名前自体が、その人の「潜在能力の指標」として独り歩きするという点では、特殊です。しかし「東大卒」といった「学歴シグナリング機能」は海外では無価値になっているのです。

日本の「有名」大学に入ることだけを目的に受験勉強することには、もはや意味がないことに、日本人は早く気が付くべきです。

グローバル化が進めば進むほど、大学の競争もグローバルになっていきます。これからは「本命シンガポール国立大かスタンフォード大、滑り止め東大」という日本人が出てきても不思議はありません。

しかし、これは日本の大学にとっては悲劇ではなく、大きなチャンスです。魅力あるコンテンツを提供し、世界から評価される大学になれば、日本の大学にも世界中から優秀な学生が集まってくる可能性があるからです。

少子高齢化で、日本人だけを相手にしている大学はいずれ縮小均衡で衰退していきます。日本企業が海外に果敢に進出しているように、日本の大学も国内競争に明け暮れるだけではなく、世界水準で考えた価値のある教育の提供を目指していかなければ、優秀な日本人さえ集まらなくなってしまう。それは避けなければいけません。

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