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昨日開催の第3回 世界の資産フェアは、朝から小雨のあいにくの天気でしたが、大手町の会場で10回開催したパネルディスカッションは、全て満席。資産運用に関する個人投資家の関心の高さを実感しました。

金融資産と実物資産を組み合わせた投資をしていく上で、大切なことはそれぞれの資産の特性を認識し、それに合った投資方法を実践することです。

金融資産で重要なのは、コストです。

図は日本経済新聞に掲載されていた投資信託の管理コスト(日本では信託報酬)の日米比較ですが、日本の投資信託の高コストがよくわかります。

日米でこれだけの差がついている理由は2つあります。

1つは、日本においてはアクティブ型運用のファンドが大半であることです。機関投資家のようなプロの運用では、インデックス運用を中心にした運用手法が主流になっています。インデックス運用の方がコストを下げられ、相対的に高いリターンが期待できる。これは日本の個人投資家にあまり知られていない事実です。アクティブファンドはインデックスファンドより運用コストが高いのですです。

もう1つは、日本においては投資信託の販売経路が銀行や証券会社の対面営業が主体になっていることです。窓口でアドバイスされている投資信託は、手数料の高い商品になりがちです。

実は、日本国内にもネット証券向けに低コストのインデックスファンドが提供されており、これらの商品の管理コストはアメリカの平均値並みのレベルまで下がっています。中には、年間の管理コストが0.5%以下というものもあり、日本の個人投資家に低コストのファンドが提供されていない訳ではありません。ただ、そのような商品を日本の個人投資家で活用している人の比率が低いだけなのです。

金融商品のコストを調べて、不当に高い商品に投資しないようにすれば、それだけで投資のリターンは改善させることができるのです。

ところが、このような年間の管理コストの差は、日々のマーケットの動きに比べれば相対的に小さなものです。年間で1%の管理コストも日割りすれば0.03%以下ですから誤差の範囲です。1日で数%動くこともある、株価や為替の値動きの方に気が取られるのは理解できます。しかし、5年、10年という長期での運用になってくれば、この毎日の小さなコストの差の積み重ねが、マーケットの変動よりも大きな影響を持つようになるのです。

だから金融商品はコストを下げることだけに注力し、銘柄選択に時間をかけるのはやめる。どの投資信託が有望なのかを考えるのに時間を割くのはやめて、コストの低いインデックスファンドを組み合わせることだけを考える。そして、その時間を不動産をはじめとする実物資産の歪みを見つけることに割くのが合理的な投資だと思うのです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。