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日本経済新聞(9月30日朝刊)に日本国内の賃貸アパートの空室問題が取り上げられています。不動産調査会社のタスによると、首都圏の空室率は2015年の半ばくらいから急上昇し、東京を含む関東の各エリアで30%を超えています。最も高い神奈川県は7月に36.66%と過去最悪となり、16か月連続で悪化しています(グラフも同紙から)。

「だから不動産投資は危ない」という声が聞こえてきそうですが、注意しなければならないのは、この空室率は「アパート」の空室率であり「マンション」の数字とは別ものです。データの出所元のタスの賃貸住宅市場レポートを見ると、アパート系(木造、軽量鉄骨)とマンション系(S造、RC造、SRC造)に空室率計算は分けて行われています。

マンション系の空室率は東京23区で見ると、1年前の11%前後から10%以下へと逆に下がっていることがわかります。神奈川、埼玉、千葉はここ半年で空室率が上昇傾向ですが、それでも12%以下とアパートとは別ものの水準であることがわかります。しかも、この空室の中には管理がずさんなマンションや、積極的にテナント募集していないやる気の無い物件も含まれています。

都心の中古ワンルームマンションの場合、私が管理を依頼している大手管理会社の空室率は1%以下。99%以上の入居率でほぼ満室です。これは、23区の中でも単身者の賃貸ニーズがあるエリアに限定し、駅からの距離や間取り、管理などを吟味して物件を投資家に供給しているからです。現に私や私の周囲の人たちが投資している物件も、空室はなく、テナントの確保に悩むといった状況からは無縁です。

この対照的な実績は、建物の構造の問題ではなく、建設されるまでの経緯の違いによって説明できると思います。

空室率の低いマンションは、元々投資物件の販売用に作られたものです。投資家に買ってもらうには立地が重要になります。駅からの距離が遠かったり、利便性が低い駅の近くや、環境に問題があれば販売できませんから、市場性のある物件だけが供給されます。

これに対し、アパートは土地を持っているオーナーが自分の節税や収益のために建設請負業者に発注して建設します。一括借上げ、家賃保証のサブリース契約という甘い話に乗せられて、遊休地だという理由だけでニーズのない場所に作られるのです。空室率が高くなると家賃保証の契約が見直され、想定していた家賃が手に入らなくなります。テナントのニーズではなく、オーナーのニーズで賃貸物件を供給しても需要が無いのは当たり前なのです。

不動産と言っても、賃貸住宅からオフィスビルまでバリエーションがあり、賃貸住宅でもアパートとマンション、ファミリータイプと単身者向けでは、投資環境が異なります。「空室率悪化で泣くオーナー」という見出しだけ見て、条件反射的に結論を出してしまう残念な人になるのは勿体ないことです。

10月19日の無料セミナー11月1日のディナー付セミナーでも、都心中古ワンルームをテーマにお話します。初心者・未経験者の人で失敗しない不動産投資を実践したい人の参加をお待ちしています。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。