慶応義塾と東京歯科大学が合併協議入りすることを明らかにしました。実現すれば、慶応義塾にとっては、共立薬科大と合併し薬学部を設立して以来の新しい学部の誕生となります。

これにより、慶応は、医療分野では医学、歯学、看護医療、薬学と4学部を持つことになり、医学系の総合大学としての価値を高めます。

慶応と並ぶ私学の雄である早稲田は、実は歯学部はおろか医学部さえもありません。

これは、高校や中学をはじめとする傘下の付属学校の人気にも影響します。

医者や歯医者が、自分の子供にも同じ仕事をさせたいと考えた時、早稲田の付属に入れるのを躊躇するはずです。エスカレーター式に進学すると、医学部・歯学部に行かなくなってしまうからです。

実は、私自身も高校受験で早稲田大学高等学院にも合格していました。落第しなければ100%早稲田大学に進学できるというのが魅力でした。しかし、合格してから万が一医者になりたくなったら困るという思いが強くなり、結局都立高校に進学する道を選びました。

実際には、慶応の付属高校から医学部に進学するのは、極めて狭き門です。とは言え、そこに選択肢があることが、とても重要なのです。

また、慶応は「三田会」と呼ばれる同窓会組織をあちこちに作り、卒業生のネットワークによって大学の価値を上げることにも熱心です。日本の大学は、勉学することよりも、人的なネットワークを構築することに大きな価値があります。この点でも慶応は、とてもしたたかです。

日本国内では人気の大学ですが、実は、日本の私立大学は、頂点に立つ早稲田・慶応でも、理工系の研究分野の世界ランキングでは、ベスト300にも入っておらず、まったく無名です。

少子化の中では生き残るためには、国内で日本人学生の中でのブランド力を高め、差別化していくことが賢明な方法なのです。

この点において、慶応は早稲田に対して圧倒的に優れた戦略を実践しています。

大学も経営手腕によって、格差が生まれる。少子化によって、企業と同じようにサバイバル競争時代に突入したのです。

慶早ではなく早慶と呼ばれ、早稲田よりも格下扱いだった慶応は、その立場を逆転し、少なくとも国内ではナンバーワンブランド大学として君臨していくことになるでしょう。

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