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栄枯盛衰の激しい東京の飲食店ですが、最近は長年通ってきた歴史のある「いいお店」が営業終了してしまうことが増えてきました。
10年以上前から通っていた麻布十番にある私のお気に入りのお店も、17年の営業に区切りをつけて今月ついに閉店するとSNSの投稿で知り、慌てて今週お店に出かけました。
オーナーのこだわりが詰まった料理とワイン、そして居心地の良い空間がとても気に入っていたのでなくなってしまうのは本当に残念です。カウンターで名物のカレーを味わい、チーズの盛り合わせをグラスワインと一緒に楽しみました。
東京にある名店が消えていってしまう背景には、飲食店を取り巻く環境の構造的な変化があります。
コロナ禍をきっかけに外食の機会を減らすライフスタイルが定着しました。会社の同僚と飲みに出かける機会も減り、歓送迎会なども簡素化しています。さらに昨今の物価高が節約志向を加速させ外食を控える人が増えました。
一方で店舗側の負担は増すばかりです。
東京の店舗家賃の大幅な上昇に加え、深刻な人手不足に伴う人件費の高騰が経営を圧迫しています。損益分岐点が高くなっても客単価はなかなか上げられませんから、稼働率を上げなければ経営胃は成り立たなくなっています。
経営環境の変化によるしわ寄せを最も大きく受けるのが客単価が1万円から2万円ほどの「日常のちょっとした贅沢」を提供してくれる真っ当な個人店です。
今の飲食マーケットは1人何万円もするような予約の取れない超高級店か、徹底的にコストを抑えた格安チェーン店にばかり人が集まるようになりました。あるいはSNSでバズり、インスタ映えするエンタメ性の高いお店だけがもてはやされる時代になってしまいました。
2つの中間にある落ち着いて上質な時間を過ごすことができる「真っ当なお店」から客足が遠のいているのです。
手間をかけて丁寧に仕込みをし、店主の個性で勝負する味わい深いお店ほど、利益率の低下とコスト増の挟み撃ちに遭い、ビジネスとして継続するのが困難になっています。
個性的な名店が姿を消し、大手のチェーン店ばかりが並ぶ東京の繁華街の風景はどの街も金太郎飴のように同じで味気ないものです。
麻布十番に出かける理由がまた1つ無くなってしまった事は本当に寂しいですが、オーナーにはこれまでの経験と実績を活かした次の展開を期待しています。
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