ダイヤモンド社の新刊「まっすぐ バカ正直に やり続ける。」を読みました。商売の考え方の基本が詰まった本です。
回転すしというと「安いけど味はイマイチ」という印象があります。しかし、安いだけではお客さんはついてきません。関西にある1軒の寿司店が、年商1,200億円の企業に成長したのには、理由がある。その秘密が本書で明らかにされています。
秘密といっても、言われてみれば当たり前のこと。それは「値打ちのある商売をする」ことです。値打ちがあるとは、安くてしょうもないものを売ることではありません。安いし、こんなに美味しい!と思ってもらった時に、初めて値打ちが生まれる。これが同社の創業者の考え方です。
ネタのクオリティが命という回転すしでは、材料にどこまでこだわることができるかが勝負になります。そこでスシローが選んだのは、原価率50%という、超薄利多売のビジネスモデルです。業界の常識から言えば、材料費にお金をかけ過ぎてコスト割れしてしまう水準ですが、「正しいと思うことを真面目にやっていれば、必ず報われるときがくる」という考えの元、利益を出せる体質にすることに成功したのです。
ここで重要なのが、正しいとは何か?ということです。
商売において、正しいか正しくないかを判断するのは、業界の常識ではありません。お客様の判断です。お客様が本当に喜ぶことを考え抜き、それを実践して評価してもらう。仮説を立てて検証していくことの繰り返しから、「正しい商売の方法」が見えてくるのです。
スシローは当初回転すしを100円、120円、180円の3つの価格で出していたそうです。しかし、それも何が正しいかを考え、最終的に100円均一のお店に集約させていきました。
「3番以下は覚えてもらえない」という危機感から、回転すしで日本一になるというビジョンを掲げ、そのために必要な工夫をお客様視点で常に続けていく。ロット寿司の導入や、ICチップを使った単品管理。すべては、お客様の満足度を高めるためという共通軸があるのです。
「うまいすしを、腹いっぱい。」というスローガンは、正しいことだったというのは、同社の企業としての成長が証明しています。
スシローには今まで行ったことがありませんでしたが、先入観を捨てて、今度行ってみようと思います。
<参考図書>
「まっすぐ バカ正直に やり続ける。」 豊崎賢一