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1年延期された東京オリンピックが、今年果たして開催できるのか。新型コロナウィルス感染拡大が続く中、悲観的な見方が広がっています。
菅首相は「人類がウイルスに打ち勝った証しとして東京大会の開催を実現する決意だ」と強調していますが、国内世論は無理に開催しなくて良いという流れに傾いています。
首相が開催にこだわるのは、スポーツの祭典としての純粋な動機よりも、東京オリンピックを経済回復の起爆剤にしたいという下心です。そもそもの健全なスポーツの祭典というオリンピック精神とはズレています。
開催するとしても、無観客では国内経済の起爆剤にはなりませんから、やるなら通常開催が大前提です。となると、選手だけではなく関係者を含めた大量の入国者が出てきます。更に、海外から観客まで押し寄せれば、緊急事態宣言で我慢している国民のストレスが爆発し、激しい反発となることでしょう。
そんな風の流れを見るかのように、1月15日にはアメリカの有力紙ニューヨークタイムズが、国際オリンピック委員会関係者らの間で開催に懐疑的な見方が出ているという記事が掲載されました。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長も最近は弱気になっているそうです。
しかし、逆に東京オリンピック開催が中止になれば、強行に開催を進めてきた菅政権への打撃が大きくなります。内閣支持率低下の中で致命傷になるかもしれません。
どちらに転んでも批判を浴びる厳しい状況になってきました。
残された時間はあまりありません。3月25日には福島県から聖火リレーが始まる予定です。それまでには開催するかしないか最終判断がなされるはずです。水面下で様々なシナリオが検討されているはずです。
可哀想なのは、このような不確実な環境下でも諦めることなく開催に向けて準備を続けている選手です。4年に1度のチャンスを1年延期され、もし中止になれば、日本人選手にとっては日本がボイコットしたモスクワオリンピックと同じ事態になってしまいます。
頼みの綱は、いよいよ世界各国で始まったワクチン接種です。その効果が目に見える形で現れ、日本国内の世論が変わらなければ、開催は残念ながら難しい。これが冷静に見た現状の見立てではないでしょうか。
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